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美人薄命 びじんはくめい ⇒ 佳人薄命 ⇒ 美人薄命 |
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作家
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作品
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夏目漱石 |
【趣味の遺伝
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百花の王をもって許す牡丹(ぼたん)さえ崩(くず)れるときは、富貴の色もただ好事家(こうずか)の憐れを買うに足らぬほど脆(もろ)いものだ。美人薄命と云う諺(ことわざ)もあるくらいだからこの女の寿命も容易に保険はつけられない。しかし妙齢の娘は概して活気に充(み)ちている。
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太宰治 |
【もの思う葦 ――当りまえのことを当りまえに語る。】
見よ! ヴィナス像の色に出ずるほどの羞恥のさま。これ、わが不幸のはじめ。また、春夏秋冬つねに裸体にして、とわに無言、やや寒き貌(かお)こそ、(美人薄命、)天のこの冷酷極りなき嫉妬(しっと)の鞭(むち)を、かの高雅なる眼もてきみにそと教えて居る。
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幸田露伴 |
【運命は切り開くもの】
澹台子羽は容貌の揚らないので孔子様にさへ軽く視られましたが、徳を修め道に進んだので、後に至つて孔子様も吾が失敗であつたと歎ぜられたとあります。美しい醜いといふことは確に其人に利益不利益を与へますが、それでさへ必ずしも利不利を与へるとは限りません。美人薄命といふ語さへあつて、美しい為に不利を亨けた例は歴史にも伝説にも余るほどあります。人相家の方では、世俗の美しいといふのには却て宜しく無く、世俗が醜いといふのに却て宜しいとするのが甚だ多いのでありますが、美醜の論だけに於てさへ前に申しました通り、必ずしも何様の彼様のといふことは定められぬのであります。
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坂口安吾 |
【明治開化 安吾捕物 その十五 赤罠】
生れた三名の子供のうち、兄と姉はすでにこの世になく、一人残った清作も病身であった。骨が細くヒョロ/\と青白く育って、見るからに長命の相が欠けているから、「早く嫁をもたせてタネをとらなくちゃア、山キの後が絶えてしまう。美人薄命というが、オレがキリョウ好みをしたのが思えば失敗のモトであろう。若い頃は分別が至らないから、目先の快楽に盲いて、老後も死後も考えないが、家を保つには丈夫で利口な嫁を選ばなければいけないものだ。その上キリョウが良ければ越したことはないが、それは二の次だ」 |
中里介山 |
【大菩薩峠 他生の巻】
紙数にして五十枚ほどの一冊を、お雪はスラスラと読みおわって、巻(かん)をとざしながら、「つまり王昭君という方は、絵をかく人に美人にかいてもらえなかったために、あんな運命になったのですね、美人薄命というのを、裏から行ったようなものですね」 と言いました。 「王昭君は本来美人なのだろう、だからやはり美人薄命さ」 竜之助が答えると、 「それはそうですけれど、本来の美人を、絵をかく人が醜婦にかいてしまったのでしょう、ですから、醜婦として取扱われてしまったんですね。つまり絵をかく人が、筆の先で王昭君を殺してしまったのですね」 |
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