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悲喜交交/悲喜交々
ひきこもごも |
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作家
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作品
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宮本百合子 |
【見落されている急所 ――文学と生活との関係にふれて――】
文学はわれわれの生きている現実の生活を突きつめてそれを芸術化して行くところに生れるのであって、われわれのぶつかる現実を、あれでもない、これでもないと、反物を選るときのように片はじからなげすてて行けばその底から或る特殊な文学的現実というものが忽然と現れ出して来るというようなものでは決してない。生活がその曲折と悲喜交々の折衝によって、われわれに文学への欲求を起させるのであるし、様々な作品をもつくらせる。成程文学作品が我々の生活に影響する力は非常に大きいが、それは或る一つの文学作品が現実への迫真力の深さによって再び現実の生活を突き動かした場合であって、われわれが日々夜々生き、戦っている現実の複雑した社会生活という土台より切りはなされた文学が、生活を押しすすめる基本的な動力となることはない。
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青柳喜兵衛 |
【夢の如く出現した彼 夢野久作氏を悼む】
それから半歳も過ぎた頃、筆者はたまたま郷里博多へ帰っていた。旅行好きの次兵衛がひょっこり旅から帰って来て、「おい、夢野久作って解ったよ。あらぁ杉山の直樹さんたい」とは、久々の挨拶もそっちのけの言葉であった。と云うわけはこうである。生活に追い立てられて旅に出た次兵衛が、 |
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