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匹夫之勇/匹夫の勇
ひっぷのゆう |
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作家
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作品
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三遊亭圓朝 |
【業平文治漂流奇談】
母「はい、私は喰(た)べません、餓死致します、お前の様な匹夫の勇を奮って浪島の家名を汚(けが)す者の顔を見るのが厭だから私は餓死致します、親父(おとっ)さまは早く此の世をお逝(なくな)り遊ばし、母親が甘う育てたからお前が左様なる身持になり、親分とか勇肌(いさみはだ)の人と交際(つきあい)をして喧嘩の中へ入り、男達(おとこだて)とか何(なん)とか実にどうも怪(け)しからん致方(いたしかた)、不埓者め、手前も天下の禄を食(は)んだ浪島の子ではないか、
喜「鳥渡上(あが)ろうと存じて居りましたが、今日は内職を休んで家(うち)にいた処で、丁度宜しい、まア此方へ」 |
巌谷小波 |
【こがね丸】
殊(こと)に対手(あいて)は年経し大虎、其方は犬の事なれば、縦令(たと)ひ怎麼(いか)なる力ありとも、尋常に噬(か)み合ふては、彼に勝(かた)んこといと難し。それよりは今霎時、牙(きば)を磨(みが)き爪を鍛へ、まづ彼の聴水めを噛み殺し、その上時節の到(いた)るを待(まっ)て、彼の金眸を打ち取るべし。今匹夫の勇を恃(たの)んで、世の胡慮(ものわらい)を招かんより、無念を堪(こら)えて英気を養ひ以(もっ)て時節を待つには如(し)かじ」ト、事を分けたる文角が言葉に、実(げに)もと心に暁得(さと)りしものから。
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海野十三 |
【火薬船】
「じゃあ、船長……」「まあ、聞け」と虎船長は、制して、 「だが、われわれは匹夫(ひっぷ)の勇をいましめなければならない」 「えっ、いまさら、匹夫の勇などとは……」 若者連中は、匹夫の勇といわれて、おさまらない。 「まあ、しずかにしろ。――これが、わが平靖号の壮途(そうと)の最後に近い時ならば、それは、だれかがいったように、こっちの船体を、ノーマ号の船体にぶっつけ、ともに天空へふきあげられてけむりになってしまうのも、わるくない。 「なにごとも、自分のおもいどおりになるものじゃないのだ。全力をつくしても、そこには運不運というやつが入ってくる。時に利のないときにも、かならず突破しなければならぬとおし出していくのは、猪武者(いのししむしゃ)だ、匹夫の勇だ。すすむを知って、しりぞくを知らないものは、真の勇士ではない」 |
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