■このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
冷飯草履
ひやめしぞうり 緒も台もわらで作った粗末なわら草履 |
作家
|
作品
|
|
【趣味の遺伝】
婆さんは万歳などには毫も耳を借す景色はない。ぶら下がったぎり軍曹の顔を下から見上げたまま吾が子に引き摺られて行く。冷飯草履と鋲を打った兵隊靴が入り乱れ、もつれ合って、うねりくねって新橋の方へ遠かって行く。余は浩さんの事を思い出して悵然と草履と靴の影を見送った。
|
|
【夢十夜】
鳥居を潜ると杉の梢でいつでも梟が鳴いている。そうして、冷飯草履の音がぴちゃぴちゃする。それが拝殿の前でやむと、母はまず鈴を鳴らしておいて、すぐにしゃがんで柏手を打つ。たいていはこの時梟が急に鳴かなくなる。
|
|
【破戒】
人々は用意に取掛かると見え、いづれも白の上被、冷飯草履は脱いで素足に尻端折。笑ふ声、私語く声は、犬の鳴声に交つて、何となく構内は混雑して来たのである。
|
|
【物売りの声】
生菓子をいろいろ、四角で扁平な漆塗りの箱に入れたのを肩にかけて、「カエチョウ、カエチョウ」と呼び歩くのは、多くは男の子で、そうして大概きまって尻の切れた冷飯草履をはいていたような気がする。それが持って来る菓子の中に「イガモチ」というのがあった。
|
|
【平凡】
勘ちゃんと云って、私より二ツ三ツ年上で、獅子ッ鼻の、色の真黒けな児だったが、斯ういうのに限って乱暴だ。親仁は郵便局の配達か何かで、大酒呑で、阿母はお引摺と来ているから、常も鍵裂だらけの着物を着て、踵の切れた冷飯草履を突掛け、片手に貧乏徳利を提げ、子供の癖に尾籠な流行歌を大声に唱いながら、飛んだり、跳ねたり、曲駈
というのを遣り遣り使に行く。
|
|
【魔像 新版大岡政談】
つんつるてんの紺絣の筒っぽに白木綿の帯をグルグル巻きにして冷飯草履、いま言ったように釣竿を肩にどこにでも出かける。
|
|
【大鵬のゆくえ】
季節は早春の正月だというのに手に渋団扇を持っている。脛から下は露出で足に穿いたのは冷飯草履。……この風態で尾行られたのでは紋太郎渋面をつくる筈だ。破れた三度笠を背中に背負い胸に叩き鉦を掛けているのは何んの呪禁だか知らないけれど
|
- それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
- このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。
|
Last updated : 2025/04/07