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布衣韋帯
ふいいたい |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)】
藤門往年の豪華は遠く去りて、今や幾多の卿相は、平氏の勃興すると共に、彼等が漸、西風落日の悲運に臨めるを感ぜざる能はざりき。嘗て彼等が夷狄を以て遇したる平氏は、却て彼等を遇するに掌上の傀儡を以てせむとしたるにあらずや。嘗て彼等が、地下の輩と卑めたる平氏は、却て彼等をして其残杯冷炙に甘ぜしめむとしたるにあらずや。而して嘗て屡京童の嘲笑を蒙れる、布衣韋帯の高平太は、却て彼等をして其足下に膝行せしめむとしたるにあらずや。約言すれば、彼等は遂に彼等対平氏の関係が、根柢より覆されたるを、感ぜざる能はざりき。 |
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