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風前之灯/風前の灯/風前之燈/風前の燈
ふうぜんのともしび |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【侏儒の言葉】
聴き給え、高い木木の梢に何か寝鳥の騒いでいるのを。鳥は今度の大地震にも困ると云うことを知らないであろう。しかし我我人間は衣食住の便宜を失った為にあらゆる苦痛を味わっている。いや、衣食住どころではない。一杯のシトロンの飲めぬ為にも少からぬ不自由を忍んでいる。人間と云う二足の獣は何と云う情けない動物であろう。我我は文明を失ったが最後、それこそ風前の灯火のように覚束(おぼつか)ない命を守らなければならぬ。見給え。鳥はもう静かに寐入(ねい)っている。羽根蒲団(ぶとん)や枕(まくら)を知らぬ鳥は!
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海野十三 |
【流線間諜】
「何者だ、覆面をとらない奴は?」なるほど一番遠い端にいる会員の一人はただ独り覆面をとろうとしない。それは「赤毛のゴリラ」に何か手渡した男だった。首領はピタリとその団員の胸にピストルを擬(ぎ)した。 覆面を取らぬ団員の生命は風前の灯にひとしかった。あわや第三の犠牲となって床の上を鮮血(せんけつ)に汚(よご)すかと思われたその刹那! 「うむ――」 ――では『赤毛のゴリラ』に宣告を与える。一同起立――」 |
海野十三 |
【少年探偵長】
一体何者であろうか。どんな顔つきの女であろう――と、そこまでを一瞬間に考えたとき、彼の身体はとつぜん「えいッ」と突きとばされた。(うッ)と、苦悶(くもん)のさけびも声も口のうち。 彼の足は、すでに崖の端を離れた。宙にうかんだ彼の身体! ああ、机博士の生命は風前の灯同様である。死ぬか、この変り者の悪党博士? それとも悪運強く生の断崖(だんがい)にぶら下るか? |
海野十三 |
【暗黒公使】
そうして尚その上に――鮮人朴友石は一種のコカイン中毒から来た殺人淫楽者で、色々な巧妙な手段を以て不思議の殺人を行い、今日迄度々警察を悩まして来た |
石原莞爾 |
【最終戦争論・戦争史大観】
リーグニッツの不期戦は風前の灯火の感あった大王を救った。大王は一部をもって露軍を監視、主力をもってダウンをベーメンに圧迫せんとしたが、露軍と墺軍の一部は十月四日ベルリンを占領したので急遽これが救出に赴いた。露軍の危険は去ったので是非ザクセンを回復せんとして南下したが、ダウンはトルゴウに陣地を占めたので大王は遂に決心してこれを力攻した。大損害を受け辛うじて敵を撃退し得たがダウンは依然ドレスデンを固守して冬営に移った。 |
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