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一致団結
いっちだんけつ |
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作家
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作品
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太宰治 |
【美男子と煙草】
古い者は、意地が悪い。何のかのと、陳腐(ちんぷ)きわまる文学論だか、芸術論だか、恥かしげも無く並べやがって、以(もっ)て新しい必死の発芽を踏みにじり、しかも、その自分の罪悪に一向お気づきになっておらない様子なんだから、恐れいります。押せども、ひけども、動きやしません。ただもう、命が惜しくて、金が惜しくて、そうして、出世して妻子をよろこばせたくて、そのために徒党を組んで、やたらと仲間ぼめして、所謂(いわゆる)一致団結して孤影の者をいじめます。
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宮沢賢治 |
【クねずみ】
相手のねずみはやはり「へい。」と言っております。テねずみはまたはじめました。 「そこでそのケイザイやゴラクが悪くなるというと、不平を生じてブンレツを起こすというケッカにホウチャクするね。そうなるのは実にそのわれわれのシンガイでフホンイであるから、やはりその、ものごとは共同一致団結和睦のセイシンでやらんといかんね。」 クねずみはあんまりテねずみのことばが立派で、議論がうまくできているのがしゃくにさわって、とうとうあらんかぎり、 「エヘン、エヘン。」とやってしまいました。 |
宮本百合子 |
【長崎の印象 (この一篇をN氏、A氏におくる)】
一面滑らかな板敷で、信徒は皆坐るものと見える。壮大な柱の根もとに穢い木綿坐布団が畳んでつくねられてあるのを見ると、異様に未開な感じがした。未開な、暗い頭脳が一むきに、ぜすきりしとを信奉し、まことに神の羊のように一致団結して苦難に堪えて来た力は、驚くべきだ。公平な立場から書かれた歴史を読むと、私共はシャヴィエル、ワリニヤニ等初期の師父――伴天連(バテレン)達が、神の福音をつげるに勇ましかったと同時、なかなか実際処世上の手腕をも具備していたことをしる。
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坂口安吾 |
【明治開化 安吾捕物 その十一 稲妻は見たり】
雷のなるたびに半分気を失いながらも必死に手帳とエンピツを握って進路を記録し、また翌日は落雷の地点をたしかめ、各地域の主と主とで記録を交換しあう。主から主へとレンラクはたちまちつくものだそうで、一致団結してカミナリ相手にどういう陰謀をたくらむというワケではなく、特に主同士で私交を深めることもないが、ただカミナリの進路をたしかめて各自の記録を交換しあうという一事に対してのみは神代説話的な執念と共鳴があるもののようだ。
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木下尚江 |
【政治の破産者・田中正造】
この文中「拝観」と「参列」とにつき一寸君の注意を求める。初め政府が定めて置いた式場の順序には、県会議長席は「拝観人」の中へ逐ひ込んであつた。この不都合を発見したのは、田中であつた。今日未だ議会が開かれざる間、人民の代表者と云へば県会議長の外に無い。我々こそ今日憲法発表式場の主体でなければならぬ。拝観とは何事ぞや――この議論を以て県会議長達を説き廻はり、一致団結して、政府へ迫つた。政府は驚いて、急に手筈を替へて参列席に改めた。
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相馬愛蔵 |
【私の小売商道】
お客のために研究に、研究を重ねて、いいものを真面目に売る、すなわち「誠実と研究」を売るためには、まず店員の素質がよくなければならない。よい素質の店員を快く働かせることが商売の秘訣である。その点、戦争でも商売でも同じだと思う。家康が関ヶ原で敵の過半数の兵で戦いに勝ったのも、素質のいい兵の一致団結にあったと思う。
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山本勝治 |
【十姉妹】
十姉妹の流行なんか決して永久に続くものでもない。と言うと、たとえ流行ってる間だけでも飼うて助かりたいと言うかも知れんが、そう云う心は、自分一人だけよかったら他の者は構わないって言う心と同じだ。百姓は百姓として働き、それで如何しても食えなんだら、それは、天候と地主と社会全体の責任だから、その時は百姓は一致団結して……」「ええい、黙まらんかッ、この社会主義奴! 十姉妹は大丈夫やわい、この勢いやったら世界中ひろまる!」 |
石原莞爾 |
【最終戦争論・戦争史大観】
明治の末から大正の初めにかけての会津若松歩兵第六十五連隊は、日本の軍隊中に於ても最も緊張した活気に満ちた連隊であった。この連隊は幹部を東北の各連隊の嫌われ者を集めて新設されたのであったが、それが一致団結して訓練第一主義に徹底したのである。
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谷譲次 |
【踊る地平線 踊る地平線】
もっとも、あふがにすたん国王のおかげで七日間の不便と受難を余儀なくされたのは私たちばかりじゃない。おなじ車だけでも日本人が九人、独逸(ドイツ)人の男女が各ひとり、あめりかのお婆さん、チェッコ・スロベキヤの青年、支那の紳士――これだけがモスコウへ着くまで一致団結して外敵露西亜(ロシア)人へ当ることに申し合わせる。何しろ、人も怖れる西比利亜(シベリア)の荒野を共産党の汽車で横断しようというのだから、その騒ぎたるや正(まさ)に福島少佐の騎馬旅行以上だ。
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国枝史郎 |
【仇討姉妹笠】
その主税が主謀者となり、鷲見与四郎(すみよしろう)といったような、血の気の多い正義派の武士たちが、どうやら一致団結して、以前から頼母の遣り口に対し――田安お館への施政に対し、反対しようとしていることを、頼母は薄々感付いていた。その主謀者の主税に恩を売り、八重を女房に持たせることによって、味方につけることが出来るのなら、こんな好都合なことはないと、そう頼母は思うのであった。
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林不忘 |
【丹下左膳 こけ猿の巻】
こうして、長屋の連中、寄ると触(さわ)ると互いに眼を光らせ、口を尖らせているので、恐ろしく仲がわるいようだが、そうではない。 一朝(ちょう)、なにか事があって外部に対するとなると、即座に、おどろくほど一致団結して当たる。ただふだんは口やかましく、もの騒がしいだけで、それがまた当人たちには、このうえなく楽しいとんがり長屋の生活なのだった。
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