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一知半解
いっちはんかい
作家
作品

森鴎外

【柵草紙の山房論文】

 逍遙子のわれを烏有先生なりとて讃歎するや、一種のおもしろき手段を用ゐたり。そを何ぞといふにかの小羊子が白日ひるの夢と題したる華文是なり。逍遙子はその初におのがしかたを説きつ。是を低級の談理界とす。譬へば猶ほ一知半解の禪のごときものならむ。こゝに使はれたる自嘲の筆法は上に引いたる節々(談理を斥くる證)にても、その一斑を知るに足らむ。逍遙子は次におのが愚痴と題して、白日の夢の かたまりの縁起を示しつ。塊とは沒却理想系の謂なるべし。是を間級の記實界とす。

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芥川龍之介

【文放古】

 この手紙を書いたどこかの女は 一知半解いっちはんかいのセンティメンタリストである。こう云う述懐じゅっかいをしているよりも、タイピストの学校へはいるために駆落かけおちを試みるに越したことはない。わたしは大莫迦おおばかと云われた代りに、勿論もちろん彼女を軽蔑した。

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与謝野晶子

【平塚さんと私の論争】

文学の書物よりも、むしろ政治、経済、教育、労働問題等のそれであることや、それと同時に私が男女のあらゆる職業に対して実際にどれだけ注意し、踏査し、かつ他人の経験に聞きつつあることやは、私の日常の実際行為として平塚さんの耳目に触れないのは当然ですが、平生文筆に由って私の公開しているものについて、もし平塚さんが通読の煩を厭(いと)われなかったなら、たとい結果は一知半解の独断的意見が多くなっているにもせよ、私の取扱っている題目の範囲のかなりに広い上に、私の態度が私の微力の能う限りにおいて社会事実の有機的関係を広く深く観察すると共に、その全体と核心と部分との統一と本末軽重を無視するどころか、常にそれを顧慮し高調していることにお気が附かねばならないはずです。

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寺田寅彦

【俳諧の本質的概論】

七五の音数律はわが国語の性質と必然的に結びついたもので人為的な理屈の勝手にはならないものである。この基礎的な科学的事実を無視した奇形の俳句は、放逸であっても自由ではない。俳諧の流るるごとき自由はむしろその二千年来の惰性と運動量をもつところの詩形自身の響きの中にのみ可能である。俳諧は謡(うた)いものなりというはこの事である。一知半解の西洋人が芭蕉をオーレリアスやエピクテータスにたとえたりする誤謬(ごびゅう)の出発点の一つはここにもある。同じ誤謬に立脚した変態の俳句などは、自分の皮膚の黄色いことを忘れた日本人のむだな訓練によってゆがめられた心にのみ感興を呼び起こすであろう。

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折口信夫

【日本書と日本紀と】

私の小論文で、若し決める事の出来たものがあつたとしたなら、「日本紀」あつて、「日本書紀」のなかつた事実である。さうして、日本書紀なる名は、史学の知識が自由な流動性を失ひかけた頃から、始まつた誤りらしく思はれる事である。而も其は、書と紀との関係・命名法になま半可な理会を持つて居た紀伝・明経博士等のさかしらから、起つたのに相違なからうと言ふ事である。さうして、弘仁私記の序に見えた「日本書紀」の字づらを見ると、史学全盛を謳はれた弘仁度の博士たちの知識程度も凡は測られる。一知半解のもの知り顔から、半紙がみ・朱器椀など言ふにも等しい、書名の音覚えに慣れて行つたのである。

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山路愛山

【明治文学史】

 其論文の構造は如何にも華麗にして恰(あたか)も蜃気楼(しんきろう)の如くなれども堅硬なる思想の上に立たざるが故に、一旦破綻(はたん)を生ずれば破落々々となり了(をは)る者あり。甚しきに至つては、徒(いたづ)らに知らぬ事を喋々(てふ/\)し一知半解識者をして嘔吐(おうと)を催さしむる者あり。然れども田口君の論文に至ては毫末も斯の如きの病なし。彼は事理を見るに明かなり。故に横に之を説くも竪(たて)に之を論ずるも、如何なる攻撃に遇ふも、如何なる賞讃に遇ふも彼は動かざるを得るなり。白旗不レ動兵営静なりとは彼が論文を形容すべき好辞なり。

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坂口安吾

【推理小説論】

 推理小説は、主要人物が富豪とか、政治家、女優、大選手など有名人ばかりで、無産者が殺されるというような例は少い。そこで、推理小説は有閑階級の玩弄物にすぎないなどというのは一知半解の見解で、だいたい犯罪の動機は色と慾で、貧乏人が被害者だと、動機が少くなり、限定される。

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デカルト
三木清訳

【省察】

すなわち、真理そのものは容易に余の智能の士並びに博学の士が諸賢の判断に同意いたすようにするでありましょう。また権威は、智能の士とか博学の士とかであるよりもむしろ多くは一知半解の徒であるのを慣わしといたします無神論者が、反対する心を棄てるように、それのみかは、おそらくすべての学識ある人々によってそれが論証と看做されていることを彼等が知っているところの根拠を、理解せぬと思われたくないために、彼等みずから弁護するようにさえ、するでありましょう。

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山本周五郎

【季節のない街 】

 彼は一メートル六〇ぐらいの背丈で、筋肉質の痩せた躯つきに、顔も痩せて小さく、眼だまと口だけが際立って大きかった。――彼はおちつきのない男であった。春彦という自分の名を恥ずかしがる程度に神経質で、愛他精神と利己主義を兼ね備えた即物的センティメンタリストで、そうして事業家であった。
 土川春彦の頭脳の中には、いつも大きな事業計画がすし詰めになっていた。この点では、同じ住人である八田公兵と共通しているようだが、そういう見かたは一知半解で、実際にはここの住人の過半数が、――たとえ空想だけに終るとしても、みなひとかどの事業家であり企業家なのであった。

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Last updated : 2024/06/28