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一言居士
いちげんこじ いちごんこじ |
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作家
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作品
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寺田寅彦 |
【柿の種】
めいめいで口をきいてめいめいの意見を吐露すべき会合の席上でいつでも黙々として始めからおしまいまで口を利かない人がある。もしかするとそれは口をきくと自分の美と尊厳をそこなうことを恐れる人ではないかという気がする。またこれと反対にいわゆる公人としての会議ではやはり公の問題そのものの前に自分の私を忘れるべきであろう。「顔」を気にする女の場合とはちがうと思われる。 |
坂口安吾 |
【二流の人】
明の大軍が愈々近づく。之ぞ目指す大敵、将星一堂に会して軍略会議がひらかれる。このときだ、隠居はしても如水は常に一言居士、京城に主力を集中、その一日行程の要地に堅陣を構へ、守つて明軍を撃破すべしと主張する。大敵を迎へて主力の一大会戦であるから理の当然、もとより全軍異議なく、軍議一決の如く思はれたとき、小西行長が立つて奇怪な異見を立てはじめた。
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