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一意専心
いちいせんしん |
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作家
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作品
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高村光雲 |
【幕末維新懐古談 実物写生ということのはなし】
そして、そういう西洋画の行き方に彫刻の方をやるには、やはり西洋画が写生を主としたと同じように写生を確(しっ)かりやらなければならないと、こう考えました。今日から見ると、甚(はなは)だ当り前のことであるが、とにかく、私は此所(ここ)へ着眼して一意専心に写生を研究しました。ちょうど、それが画家が実物を写生すると同じように刀や鑿(のみ)をもって実物を写生したのである。
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清水紫琴 |
【一青年異様の述懐】
いでさらば予は、この一肉塊としての予が。今や何を考へ。また一意専心に、何を企てつつ、あるかを自白せむ。予が友は、予が未だ、恋をなせりと、心付かざりし以前にありて。早く既に予をば、彼女に意あるものと察して。予の為にともに、彼女の経歴を説き、目下の境遇をば語り。
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石井研堂 |
【元日の釣】
朝少し早く出かけて、茅舎(ほうしゃ)林園の、尚紫色(むらさき)、濛気(もや)に包まれてる、清い世界を見ながら、田圃道を歩く心地の好いこと、それだけでも、獲物は已(すで)に十分なのです。それから、清江に対して、一意専心、竿頭(さおさき)を望んでる間といふものは、実に無我無心、六根清浄の仏様か神様です。
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夢野久作 |
【能とは何か】
家元が自身鍛練した芸風によって、自流の世界を統一薫化すると同時に、他流の世界と闘って自流の流是を貫いて行かねばならぬ。だから、家元ばかりはドンナ事があっても衣食に困らないようにして、芸道の研究に生涯を捧げ、時流に媚びず、批評家に過(あや)またれず、一意専心、自己の信念に向って精進せねばならぬ。
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宮本百合子 |
【獄中への手紙 一九四五年(昭和二十年)】
すこし年をとって、一方にちょいとした人生論が出来上ったりしている人物が露伴や何かの随筆をすくのも、程よい酒の味というところね。随筆とくに(日本のは)人間良心の日当ぼっこですから。ああ、わたしは、又わきめをふらず、一意専心に、このセザンヌ風プラス明日という文章をかきたいわ。のっぴきならざる小説が書きたいわ。文士ならざる芸術品がつくりたいわ。堂々と落付いていて、本質にあつい作品が書きとうございます。ブランカの精髄を濺(そそ)いでね。
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穂積陳重 |
【法窓夜話】
当時グローチゥスは三十六歳であったが、終身禁錮の刑に処せられても、少しも失望することなく、その身は獄舎の中にありながらも、夫人マリアの慰藉と奨励とを受けつつ、一意専心思いを著述に潜めておった。かくて後には、典獄の許可を得て、ゴルクムなる友人たちに依頼して、一週に一度ずつ書籍を櫃(ひつ)に入れて交換出納し、また衣類などを洗濯のために送り出すことも許されるようになった。
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