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一日之長/一日の長
いちじつのちょう |
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作家
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作品
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岸田國士 |
【武者小路氏のルナアル観】
つぎに、武者小路氏は、西洋の作家は「言葉を活かす」ことに於て傑れ、日本の作家は「沈黙の価値」を識ることに於て一日の長があると云はれる。西洋の作家の一例として、勿論ルナアルが引合ひに出されてゐるわけである。 |
森鴎外 |
【鴎外漁史とは誰ぞ】
人が鴎外という影を捉(とら)えて騒いだ時も、その騒ぎの止んだ後も、形は故(もと)の如くで、我は故の我である。啻(ただ)に故の我なるのみでは無い、予はその後も学んでいて、その進歩は破鼈(はべつ)の行くが如きながらも、一日を過ぎれば一日の長を得て居る。予は私(ひそか)に信ずる。
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芥川龍之介 |
【あの頃の自分の事】
成瀬も今年の夏、日本アルプスへ行つた時の話を書きかけてゐると云ふ事だつた。それから三人で、久米の拵へた珈琲(コオヒイ)を飲みながら、創作上の話を長い間した。久米は文壇的閲歴の上から云つて、ずつと我々より先輩だつた。と同時に又表現上の手腕から云つても、やはり我々に比べると、一日の長がある事は事実だつた。特に自分はこの点で、久米が三幕物や一幕物を容易にしかも短い時間で、書き上げる技倆に驚嘆してゐた。
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幸田露伴 |
【連環記】
寂心源信の間には、日ごろ経律(きょうりつ)の論、証解(しょうげ)の談が互に交されていたろうことは想いやられる。勿論文辞に於ては寂心に一日の長があり、法悟に於ては源信に数歩の先んずるものが有ったろうが、源信もまた一乗要訣、往生要集等の著述少からず、寂心と同じように筆硯(ひっけん)の業には心を寄せた人であった。
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佐々木味津三 |
【右門捕物帖 曲芸三人娘】
こんなのんきなまねをする暇があったら、はええことネタをあげちまえばいいものを、ほんとうにじれじれするじゃねえか。おめえまで誘い込まれて、ぽかんと口なんぞあけて見とれていたら、根こそぎ鼻毛を抜かれちまうぜ」 しきりとあいきょう者が一日の長を誇って、いやに兄分風を吹かしているのを、右門はくすくすと笑いわらい聞き流しながら、黙念としてしたくの整うのを待ちました。 |
相馬愛蔵 |
【私の小売商道】
今日百貨店が大なる信用を博してあの盛況をみますのも、その根本的最大原因は何かというと、正札販売において一日の長があったからであります。これは単に我が国のみではありません。米国の商店においても、以前はお客によって価の上下をしたものでありますが、今日は百貨店にリードされて、一般に正札販売になったと云うことであります。
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中里介山 |
【大菩薩峠 京の夢おう坂の夢の巻】
「その後、拙者は身世(しんせい)の数奇(さっき)というやつで、有為転変(ういてんぺん)の行路を極めたが、天下の大勢というものにはトンと暗い、京都はどうなっている、江戸はどうだ、それから、君の故郷の薩摩や、長州の近頃の雲行きはどうなっている、知っているなら話してくれないか」 「うむ、僕もよくは知らんが、君よりは一日の長があるか知れん、知っているだけ物語って聞かそう。まず、君にも何かと縁故の深い壬生(みぶ)の新撰組だな」 「うむ――どうだい、あれは」
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ビクトル・ユーゴー |
【レ・ミゼラブル】
特殊な一事としては、その狭い家庭外にあってはだれも彼女の呼び名を知ってる者のないことだった。人々は彼女を姉のジルノルマン嬢と呼んでいた。偽君子的なことでは、姉のジルノルマン嬢はイギリスの未婚婦人よりも一日の長があったろう。彼女は暗闇(くらやみ)にまで押し進められた貞節であった。 |
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