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一日千秋
いちにちせんしゅう いちじつせんしゅう |
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作家
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作品
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有島武郎 |
【或る女(前編)】
その木村が赤い着物を着ているという法があるものか。……かわいそうに、木村はサン・フランシスコから今ごろはシヤトルのほうに来て、私の着くのを一日千秋の思いで待っているだろうに、わたしはこんな事をしてここで赤い着物を着た男なんぞを見つめている。千秋の思いで待つ? それはそうだろう。けれどもわ たしが木村の妻になってしまったが最後、千秋の思いでわたしを待ったりした木村がどんなで、葉子はわざと木村と握り合わせた手に力をこめて、さらになんとか言葉をつがせてみたくなった。その目も木村の口びるに励ましを与えていた。木村は急に弁力を回復して、 「一日千秋の思いとはこの事です」 とすらすらとなめらかにいってのけた。 |
徳冨蘆花 |
【小説 不如帰】
(上略)近ごろは |
菊池寛 |
【真珠夫人】
その裡に、彼女の心にも、少女らしいさう考へて来ると、美奈子には次の日曜が廻つて来るのが、一日千秋のやうに、もどかしく待たれた。 |
濱田耕作 |
【石鏃の思出話】
神奈川縣の千葉幸喜次とか云ふ人が、自分はその地方で採集した石鏃を澤山持つてゐるから、郵劵を封入して申込めば送つてやるといふ文が載つてゐたので、矢 の根石の矢も楯もたまらず、早速申込みをして一日千秋の思で待つて居つた處、大小三箇の石鏃が屆いた。その時の嬉しさ。千葉君の好意を胸に銘して、いつも 鼻の油で磨きながら愛玩して居つた。
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田中貢太郎 |
【海神に祈る】
港八九は |
宮本百合子 |
【獄中への手紙 一九四五年(昭和二十年)】
友ちゃんのこと、子供らのこと、お母様のお心のうち万々お察しいたすにあまりあります。健気にぐちも書いていらっしゃいませんが、どんなお気もちでしょ う。申しあげようもありません。此の上は、隆治さんの無事に還る日が一日千秋です。(在外邦人はみんな帰すそうです。八十万内地に戻るそうです。)
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須川邦彦 |
【無人島に生きる十六人】
島を中心とした、まんまるな水平線に、ただ目をこらして、通りかかる船を、一日千秋の思いで待った。だが、船はいつ通ることか。一ヵ月後か、一年後か、あるいは…… しかし、いつかは、きっと通るにちがいない。
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横光利一 |
【旅愁】
「しめたッしめたッ。」と叫びを耐えた声で馳けて来た。首でもかき取って来たような様子である。 「婆さんとうとう、貸してくれたぞ。一日千秋の想いを達した。これだ。」 塩野は人に知られぬようにあたりを見廻してから、上衣の下から大きな鍵を覗かせた。 |
加藤文太郎 |
【単独行】
また故郷の家からは、父の病気はますます重くなって行く、もうそう長くは生きておられないように思うといってきた。私もそう思ったのでもう山登りを止めよ う。そしていろいろ心配をかけた不孝をお詫びし、今度こそはほんとにお父さんを安心させようと決心した。そして休暇の貰える日を一日千秋の思いで待ってい た。
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夢野久作 |
【近世快人伝】
犬と猿のように仲が悪く、毎日毎日福岡市内の到る処で、鎮台兵と衝突していたものであるが、しかも、そうした不平士族の連中の中には西郷隆盛の征韓論の成立を一日千秋の思いで仰望していたものが少くなかった。祖先伝来の一党を |
穂積陳重 |
【法窓夜話】
マリア夫人が、一日千秋の思いをして待っていた逃走の機会は、今や次第に近づいて来た。夫人はその機会のいよいよ熟したのを見て、夫に勧めて冒険なる脱獄を企てたのである。その方法として、夫人は監守兵の怠惰に乗じて、その夫を櫃の中に
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国枝史郎 |
【名人地獄】
「いかにも俺は秋山要介、貴様を尋ねてやって来たのだ!」「あっいけねえ、そいつあ大変だ! わっちも先生のおいでくださるのを、一日千秋で待っていやした。いやどうもとんだ間違いだ! 取り舵イイ」とばかり声を絞った。 |
甲賀三郎 |
【支倉事件】
その日の午後訪ねて来た同僚の刑事に渡辺は委細を話して、明後日は充分抜りなく手配をして貰う事を頼んだ。我事なれりと喜んだ渡辺刑事は油断なく浅田の行動を覗いながら、その日の来るのを一日千秋の思いで待ち焦れていた。
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