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一六勝負
いちろくしょうぶ
作家
作品

夏目漱石

【坑夫】

 安さんは堕落したと云った。高等教育を受けたものが坑夫になったんだから、なるほど堕落に違ない。けれどもその堕落がただ身分の堕落ばかりでなくって、品性の堕落も意味しているようだから痛ましい。安さんも達磨(だるま)に金を注(つ)ぎ込むのかしら、坑(あな)の中で一六勝負(いちろくしょうぶ)をやるのかしら、ジャンボーを病人に見せて調戯(からか)うのかしら、女房を抵当に――まさか、そんな事もあるまい。

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国木田独歩

【牛肉と馬鈴薯】

 然るに八時は先刻打っても人々は未だなかなか散じそうな様子も見えない。人力車が六台玄関の横に並んでいたが、車夫どもは皆な勝手の方で例の一六勝負最中らしい。
 すると一人の男、外套の襟を立てて中折帽を面深に被ったのが、真暗な中からひょっくり現われて、いきなり手荒く呼鈴を押した。

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戸坂潤

【娯楽論 ――民衆と娯楽・その積極性と社会性・――】

 娯楽の積極性のもう一つの要素は、前の単なる生活契機である娯楽行動一般とは異って、娯楽が夫々の文化形象をなすという点に存する、麻雀・球・碁・将 棋・娯楽雑誌・諸演芸を初めとして、各々性質を異にするものを漠然と総称する処の所謂スポーツ(之は体操から一六勝負までも含み兼ねない)社交の催し (パーティー・サロン・其の他)など、夫々いずれも社会に於ける文化形象なのである。

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中里介山

【大菩薩峠 山科の巻】

「ばかげた噂だ、毛唐を金主に頼めば、毛唐に頭が上らなくなる、日本を抵当にして、一六勝負を争うようなもんだから、どんなに貧乏したって、毛唐の金で戦ができるか」

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28