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意気揚揚/意気揚々
いきようよう |
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作家
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作品
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太宰治 |
【春の盗賊】
このゲエテの結論は、私にとって、私のような気の多い作家にとって、まことに頂門の一針であろう。あまりに数多い、あれもこれもの猟犬を、それは正に世 界中のありとあらゆる種属の猟犬だったのかも知れない、その猟犬を引き連れて、意気揚々と狩猟に出たはよいが、わが家を数歩出るや、たちまち、その数百の 猟犬は、てんでんばらばら、猟服美々しく着飾った若い主人は、みるみる困惑、と見るうちに、すってんころりん。
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菊池寛 |
【M侯爵と写真師】
「杉浦君! 今日は外交調査会がある日だから、一つTさんを撮ってきて下さい。Tさんはあなたに限るようですから」などといいつけると、ややお調子者の杉浦は、もう大得意で大カメラの入ったズックを重そうに担いで、意気揚々と出かけて行ったものです。 |
福沢諭吉 |
【学問のすすめ】
いま政府に常備の兵隊あり、人民これを認めて護国の兵となし、その盛んなるを祝して意気揚々たるべきはずなるに、かえってこれを威民の具とみなして恐怖 するのみ。いま政府に学校、鉄道あり、人民これを一国文明の徴として誇るべきはずなるに、かえってこれを政府の私恩に帰し、ますますその賜に依頼するの心 を増すのみ。
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石川啄木 |
【雲は天才である】
忘れもせぬ本年一月元旦、学校で四方拝の式を済ましてから、特務曹長上りの予備少尉なる体操教師を訪問して、苦学生の口には甘露とも思はれるビールの馳走 を受けた。まだ酔の醒めぬ顔を、ヒユーと矢尻を研ぐ北国の正月の風に吹かせ乍ら、意気揚々として帰つてくると、時は午後の四時頃、とある町の彼方から極め て異色ある一人物が来る。
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島崎藤村 |
【破戒】
いづれ是人も、選挙の準備(したく)として、地方廻りに出掛けるのであらう。と見る丑松の側(わき)を、高柳は意気揚々として、すこし人を尻目にかけて、挨拶も為(せ)ずに通過ぎた。
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中里介山 |
【大菩薩峠 みちりやの巻】
白根、赤石の連山までが手に取るように輝き渡って見えたということです。それで、その、青天白日の六千尺の大屏風(おおびょうぶ)の上を件(くだん)の武者修行の先生が、意気揚々として、大手を振って通ると、例の姫の井のところで、ふいにでっくわしたのは、蛇(じゃ)の目の傘をさした、透きとおるほどの美人であったということですから、聞いていた雲衲(うんのう)も固唾(かたず)をのみました。
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江見水蔭 |
【月世界跋渉記】
「やあ帰って来ました。帰ってきました。」「そうか。」 と博士も助手も一様に窓に出ると、如何にも三人の探検隊は各自に山のような荷物を背負って意気揚々として帰って来た。 「どうだ。結果は。」 |
大阪圭吉 |
【石塀幽霊】
するとそこへ、取調べを終った司法主任の一行が、宏と実の双生児(ふたご)を引立てて意気揚々と出かけて来た。蜂須賀巡査は急にうろたえはじめた。そしてどぎまぎした調子で司法主任へ云った。
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佐々木味津三 |
【右門捕物帖 七七の橙】
十手も啖呵(たんか)もものをいったのではない が、われこそその一の子分と巻き舌でぱんぱんと名のったむっつり右門の名がきいたのです。ぎょっとしながら、町奴どもがたじたじとなってあとへ引いたの を、意気揚々として伝六がくくされているさるぐつわの面々のところへ近づくと、なかなかに味な締め方でした。
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牧野信一 |
【鱗雲】
競技に出場する程の凧になると一つの胴片の直径が五尺近くもあつたに相違ない、一つの胴片を一人の男が捧げるに充分だつた。それらは夫々両端を糸でつない であるのだが、彼等が意気揚々と繰り込んで来る光景を遠くから眺めると楯をかざした一列縦隊の兵士が調練をしてゐるやうに見えた。金色の楯をかざした一隊 があつた。
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長谷川時雨 |
【朱絃舎浜子】
「何を買ったかなあ、刀? だが、子供では、他(はた)が買わせやしなかったろうが――え、なに、本?」茶箱に何ばいかの書籍、それを担(かつ)がせて、意気揚々とおちび少女は帰っていったのだ。 「親馬鹿は感心したろうがにえ。」 鼓村さんは自分も感心したように言った。 |
大杉栄 |
【自叙伝】
僕はいきなりけさんを振りあげた。西川はちょっと後ろを向いた。その拍子に彼の頭から血がほとばしり出るように出た。みんなはびっくりして西川を取りまいた。僕は多少の心配はしながら、それでも意気揚々と引きあげて帰った。西川の頭にはその後二寸ばかりの大きな禿ができていた。 |
島田清次郎 |
【地上 地に潜むもの】
己はそう頭脳の悪い人間ではなかったらしく、商業学校の試験にも及第して意気揚々と忌わしい家を出て、はじめて知らない人達の中へ出たのです。静子、己の十四のときだよ。
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蘭郁二郎 |
【睡魔】
早速自転車を馳(は)しらせて、一応警察の方にその男の始末を頼んで置き、意気揚々とした村田を真中に、喜村の家にかえって来た。ゲンも尾を振りながら、穏和(おとな)しく追(つ)いて来て、自分で小屋に這入ってしまった。
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知里幸恵 |
【手紙】
体重も昨年の今月よりハ一・六五〇貫増し、身長も一寸何分とか加ったよし、意気揚々たるものであります。あたゝかい春風に吹かれて真志保も私も赤銅色にな りました。雪はまだ二尺ほどもありますが、それでも、其処此処に点々と雪の消えたところに黒い土の中から淡い緑色した草の芽がもえてゐます。
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渡辺温 |
【嘘】
甚だ奇妙なことであった。と云うのは、彼女が若しも其処の甃石の中から突然せり上って来て歩き出したのでもない限り、そのあたりは恰度××ビルディングの普請場の板囲(いたべい)が続いているところだったので、彼女がそうした工合に意気揚々と立ち出でそうな玄関口なぞは一つもなかったのだから。
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坂口安吾 |
【新潟の酒】
この数年来新潟の地酒宣伝特売といふやうなものが時々東京で行はれる。かねがね「おきな」の朝日山が念頭を離れなかつた私は酒友十数名を待たしておいて 特売所へ駈つけ一升詰を五本仕込んで意気揚々と戻つてきた。飲んでみると甘いばかりで、てんから飲めない酒である。非常に悪評であつた。
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中島敦 |
【盈虚】
亡命太子は趙簡子の軍に擁せられて意気揚々と黄河を渡った。愈々衛の地である。戚(せき)の地迄来ると、しかし、其処(そこ)からは最早一歩も東へ進めないことが判った。
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犬田卯 |
【沼畔小話集】
「じゃ、どうぞよろしく。」「承知しました。」 意気揚々としてそこを出た男爵は、Kの肩を叩いて、 「君、どうだね。ひとつ満州へ勇飛しないかね。」 |
岸田國士 |
【美談附近】
「僕ぢやどうです」と、この時、筒井莞爾君は、意気揚々と名乗つて出た。 女たちは、互に顔を見合はせた。 「なんにもお役に立たないから、それくらゐのことでもさせて下さい」 彼はもう、担架の上に長々と寝そべつた。 |
巖谷小波 |
【三角と四角】
「画板わえらいえらい。」と、頻(しき)りに画板を褒め立てますから、如何(どう)した事かと行(いっ)て見ますと、こわいかに、昨日まで四角であった画板わ、今朝(けさ)わ八角に成って、意気揚々と歩行(ある)いております。 四角の角々を切り落せば、角の数が倍になって、八角に成るのわ当然(あたりまえ)、しかもそれわ自分の所業(しわざ)であるのに、そうとわ心付かぬ三角定木、驚いたの驚かないの! |
宮本百合子 |
【一条の繩】
彼は晴ればれした心持で、可愛い連れの身繕いを手助((ママ))ってやったり、羽根をしごく次第(ついで)に一寸強く引っぱって見たり、擽って見たりした。二羽は充分めかし込んだ。 出来る丈美くしくなった。 そして又、意気揚々と歩き出したのである。 「どっちへ行きましょうね。
二つの影は、かたい地面の上に縺れ合った。
「向うへ行って御覧、うんそうそうまっすぐの方へ。 |
島崎藤村 |
【藁草履(わらぞうり)】
紫の旗をかざして、 |
中井正一 |
【地方の青年についての報告】
この言葉に青年は、文字通り蹶起したらしい。蓋をあけてみると、四百名の男女の青年が見事に三日間の講座を持ち、講師の費用も意気揚々と持って来たので ある。四百名の村をこぞっての青年達が、村を完全に支配して、女の子は料理を、青年は組織を、と動く有様を講師達は帰って、実に愉快そうに話して聞かすの であった。
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岸田國士 |
【ブルタアニュの伝説より】
「何をやらう」親玉が相談した。「背中の瘤を取つてやれ」一同は声を揃へて云つた。 背中の瘤が取れた。 翌朝、日の昇る前に、仕立屋は意気揚々と家に帰つた。その日は日曜である。近所のものが寄つてたかつて「一体どうしたんだ」と尋ねた。仕立屋は昨夜の一件をつゝまず話して聞かせた。 |
佐々木味津三 |
【右門捕物帖 卍のいれずみ】
官費の旅行だから、大きにそれにちがいないが、しかし、十町と行かないうちに、いっこうそれがいい気持ちでないことになりました。というのは、ちょうど 加賀さまのお屋敷前までやって行くと、はからずも、向こうから意気揚々と、旅のしたくをしながら、こちらへやって来る一団にばったりと出会ったからです。
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