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一家眷属
いっかけんぞく |
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作家
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作品
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岡本綺堂 |
【半七捕物帳 津の国屋】
津の国屋の店の若い者が、近所の武家屋敷へ御用聞きにゆくと、その屋根瓦の一枚が突然その上に落ちて来て、彼は右の眉のあたりを強く打たれて、片目がまったく腫(は)れふさがってしまった。その若い者は長太郎といって、このあいだの晩、自分の店先で撫子の浴衣を着た娘に声をかけた男であることを、文字春はお雪の話で知った。おそろしい祟りはそれからそれへと手をひろげて、津の国屋の一家眷属(いっかけんぞく)にわざわいするのではあるまいか。津の国屋ばかりでなく、しまいには自分の身のうえにまで振りかかって来るのではあるまいかと恐れられて、文字春は実に生きている空もなかった。かれは程近い円通寺のお祖師様へ日参(にっさん)をはじめた。 |
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