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一気呵成
いっきかせい |
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作家
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作品
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夏目漱石 |
【吾輩は猫である】
主人はまた行(ぎょう)を改める。彼の考によると行さえ改めれば詩か賛か語か録か何(なん)かになるだろうとただ宛(あて)もなく考えているらしい。やがて「天然居士は空間を研究し、論語を読み、焼芋(やきいも)を食い、鼻汁(はな)を垂らす人である」と言文一致体で一気呵成(いっきかせい)に書き流した、何となくごたごたした文章である。
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夏目漱石 |
【三四郎】
三四郎が著しく感じたのは、その水彩の色が、どれもこれも薄くて、数が少なくって、対照に乏しくって、日向(ひなた)へでも出さないと引き立たないと思うほど地味にかいてあるという事である。その代り筆がちっとも滞っていない。ほとんど一気呵成(いっきかせい)に仕上げた趣がある。絵の具の下に鉛筆の輪郭が明らかに透いて見えるのでも、洒落(しゃらく)な画風がわかる。
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夏目漱石 |
【文士の生活 夏目漱石氏-収入-衣食住-娯楽-趣味-愛憎-日常生活-執筆の前後】
新聞の小説は毎日一回ずつ書く。書き溜(た)めて置くと、どうもよく出来ぬ。矢張(やはり)一日一回で筆を止めて、後は明日まで頭を休めて置いた方が、よく出来そうに思う。一気呵成(いっきかせい)と云うような書方はしない。一回書くのに大抵三四時間もかかる。然し時に依ると、朝から夜までかかって、それでも一回の出来上らぬ事もある。
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正岡子規 |
【歌よみに与ふる書】
もののふの八十氏川(やそうじがわ)の網代木(あじろぎ)にいざよふ波のゆくへ知らずも といふがしばしば引きあひに出されるやうに存候。この歌万葉時代に流行せる一気呵成(かせい)の調にて、少しも野卑なる処はなく、字句もしまりをり候へども、全体の上より見れば上三句は贅物(ぜいぶつ)に属し候。 |
寺田寅彦 |
【数学と語学】
それで語学も数学もその修得は一気呵成(いっきかせい)にはできない。平たくいえば、飽きずに急がずに長く時間をかける事が、少なくとも「必要条件」の一つである。
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邦枝完二 |
【曲亭馬琴】
が、松が取(とら)れたきょうとなっては、もはや来るべき友達も来尽してしまった肩脱けから、やがて版元に重ねての催促を受けぬうち、一気呵成に脱稿してしまおうと、七草粥(がゆ)を祝うとそのまゝ、壁に「菊軒」の額を懸けた四畳半の書斎に納まって、今しも硯(すずり)に水を移したところだった。
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上村松園 |
【三人の師】
先生の画室には低い大きな机があって、その上へいつもれんおちの唐紙を数枚かさねて置いてある。 先生はそこへ坐られると、上の一枚に下部から一気呵成に岩や木や水や雲といったものをどんどんと描いていかれる。
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織田作之助 |
【猿飛佐助】
石川や浜の真砂の数あれど、石の上にも三年の伊賀で覚えし忍術を、いざ鎌倉のその時に、使えばいかな敵もなく、いつも月夜と米の飯、石が流れて木の葉が沈む、今太閣の天下をば、命をかけた陰謀の、意地ずくどりの的にして、命知らずの一味郎党、一蓮託生の手下に従え、一気呵成に奪わんと、一騎当千の勢いの、帷幄は東山南禅寺、一に石川、二に忍術で、三で騒がす、四に白浪の、五右衛門と噂に高い、洛中洛外かくれもなき天下の義賊、石川五右衛門とは俺のことだ
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木下尚江 |
【臨終の田中正造】
その文章と云ひ筆蹟と云ひ、一気呵成、所謂インスピレーシヨンの所作だ。
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中里介山 |
【百姓弥之助の話 第一冊 植民地の巻】
それから筆まかせに書と絵とを書きまくるつもりであったが、書と絵とを同時につくるのはどうも気分がそぐわない、書の方は一気呵成にやれるけれども絵の方は相当の構図を組み立てた上でないとやれない、と云ったような呼吸から今日は書だけにして置いて絵は明日のことときめた。
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牧野富太郎 |
【植物知識】
まず以上で花と実との概説(がいせつ)を了(お)えた。これは一気呵成(いっきかせい)に筆(ふで)にまかせて書いたものであるから、まずい点もそこここにあるであろうことを恐縮している。
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徳冨健次郎 |
【みみずのたはこと】
尺を得れば尺、寸を獲(う)れば寸と云う信玄流(しんげんりゅう)の月日を送る田園の人も、夏ばかりは謙信流(けんしんりゅう)の一気呵成(いっきかせい)を作物の上に味(あじ)わうことが出来る。
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