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一高一低
いっこういってい |
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作家
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作品
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國木田独歩 |
【空知川の岸辺】
三輛の馬車は相隔つる一町ばかり、余の馬車は殿(しんがり)に居たので前に進む馬車の一高一低、凸凹(でこぼこ)多き道を走つて行く様が能(よ)く見える。霧は林を掠(かす)めて飛び、道を横(よこぎ)つて又た林に入り、真紅(しんく)に染つた木の葉は枝を離れて二片三片馬車を追ふて舞ふ。御者(ぎよしや)は一鞭(いちべん)強く加へて「最早(もう)降(おり)るぞ!」と叫けんだ。 |
国木田独歩 |
【あの時分】
牧師が賛美歌の番号を知らすと、堂のすみから、ものものしい重い、低い調子でオルガンの一くさり、それを合図に一同が立つ。そして男子の太い声と婦人の清く澄んだ声と相和して、肉声の一高一低が巧妙な楽器に導かれるのです、そして「たえなるめぐみ」とか「まことのちから」とか「愛の泉」とかいう言葉をもって織り出された幾節かの歌を聞きながら立っていますと、総身に、ある戦慄(せんりつ)を覚えました。
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国木田独歩 |
【女難】
この騒がしい場所の騒がしい時にかの男は悠然(ゆうぜん)と尺八を吹いていたのである。それであるから、自分の目には彼が半身に浴びている春の夕陽までがいかにも静かに、穏やかに見えて、彼の尺八の音の達(とど)く限り、そこに悠々たる一寰区(かんく)が作られているように思われたのである。自分は彼が吹き出づる一高一低、絶えんとして絶えざる哀調を聴きながらも、つらつら彼の姿を看(み)た。 |
小栗虫太郎 |
【紅毛傾城】
「いやいや、火砲(カノン)とは申せ、運用発射を鍛練してこその兵器じゃ。魯西亜(オロシャ)の水兵(マドロス)どもには、分度儀(ジャスパー)も測度計(サイドスケール)も要らぬはずじゃ。水平の射撃ならともかく、一高一低ともなれば、あれらはみな、死物的に固着してしまうのじゃよ。慈悲太郎、兄はいま抱火矢を使って、あの軍船と対舷(たいげん)砲撃を交わしてみせるわ」
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