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意味深長
いみしんちょう |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【明治開化 安吾捕物 その十七 狼大明神】
「いいえ。ウチの隣りにちょッぴりしかありません。だからフシギでさア」伊之吉の小屋をでて、一行は帰途についた。 「伊之吉の話は意味深長ですね。賀美村へ戻って定助の殺された時の様子をこまかく調べてみると何かが分るかも知れませんね」 |
南部修太郎 |
【S中尉の話】
「面白い話だ……」と、叫んだのはYです。 「だが、其處でぽつんと糸のやうに切れた處が、極めて意味深長で好い……」 と、にやにや笑ひながら云つたのはMでした。 「意味深長かも知れないさ……然し僕にはこれが生れて初めての、オンリイ一つの戀物語と云へば戀物語だ。若い時の思ひ出にこれを大事にしまつて置くよ。僕はとてももう一生女に惚れられさうな男ぢやあないからね。」 と、S中尉はやがて諦めたやうに云つて、寂しく笑ひました。 |
宮本百合子 |
【海流】
「そんな風に話すのおよしなさいよ、ね――何故嘘つくのよ!」瑛子は心外らしく顔付をかえて大きい声で云った。 「いつ私が嘘をつきました――嘘は大嫌だよ」 「だってそうじゃありませんか。そんな気持になれないなんて――母様が……」 宏子は、弟がいるので意味深長な、鋭く悩みのこもった一瞥を母に与えた。 |
戸坂潤 |
【再び科学的精神について】
――ただそれを社会的に支えるものは、社会支配者層の観念上の必要だけであって、教学という観念が「国家」という観念を離れては一刻も生存出来ないらしいことは、意味深長なことだ。以て又、この精神の文化時局的な用途の無理からぬ点を理解し得よう。
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佐々木味津三 |
【右門捕物帖 袈裟切り太夫】
「身から出たさびだよ。いこうぜ、いこうぜ」辰を促すと、もちろんまず娘手踊りのほうへはいるだろうと思われたのに、さっさとさるしばいのほうへ曲がっていったものでしたから、がらはちまちましているが、お公卿(くげ)さまだとて年ごろの男です。のどかな顔に、意味深長な薄笑いをにったり浮かべると、陰にこもっていいました。 |
海野十三 |
【獏鸚】
「お連れさんは?」「これは俺の大の親友だ。帆村という……」 「よろしゅうございます。……ところで貴方に御注意しときますがな、どうも余り深入りするとよくありませんぜ」 と門衛は改まった顔で意味深長なことをいった。 「なんだい、深入りなんて?」 |
伊東静雄 |
【わがひとに与ふる哀歌】
河辺の歌私は河辺に横はる (ふたたび私は帰つて来た) 曾ていくどもしたこのポーズを 肩にさやる雑草よ 昔馴染の 意味深長な と嗤ふなら 多分お前はま違つてゐる 永い不在の歳月の後に 私は再び帰つて来た ちよつとも傷けられも また豊富にもされないで |
小野賢一郎 |
【やきもの讀本】
さて此の片輪な幅を掛けてみてどうであらう。寒山があつたならば定めしいゝであらうと思はるゝけれど、寒山の行方何處――といふところにも亦興味があつて寒山がなくて却つて意味深長、拾得一人ゐても少しも物足らぬ氣持がしない、構圖、氣魄、すべて秋月といふ畫人の良さがあれば夫れでいゝのではあるまいか。われら貧人には寒山を家の外に逸してゐるところに却つて興趣がある、敢て負惜しみをいふのではない。疵陶亦然矣。
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海野十三 |
【宇宙尖兵】
僕はつまらんことを訊(き)いたものだと、云った後で気がついた。もちろん誰も僕に賛成しないのであった。それに、もっと面白くないことは、ベラン氏夫妻が、互いに手を取り合って、意味深長な目付をしたことであった。「僕の惨敗だ。本艇に乗組んでいる者の中で、今度の宇宙旅行について一等何も知らない者は僕だということが今初めて分った」 |
萩原朔太郎 |
【詩の原理】
より深く真実にふれ、事物や現象の背後に於て、普遍的に法則するもの(科学的真理)や、或はその科学的真理の上に於て、さらに法則を法則する一切の根本原理(哲学的真理)にふれた時、吾人(ごじん)はそれを意味深長と云う。
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中里介山 |
【大菩薩峠 めいろの巻】
「べらぼう様、這い出してみたところで、そう易々(やすやす)と落っこちる道庵とは、道庵が違うんだ」と、寝言のように言いました。 米友が道庵先生に対して、特に夜中に這(は)い出しちゃあいけねえぜと、警告ようの文句を与えたのは、かなり意味深長なものが、あるといえばあるらしい。 |
チャールズ・ディッケンズ |
【二都物語 上巻】
このことだけだってその話はあの方(かた)には気持がよくはないんだろうと、私はそう思うんです。」これはロリー氏が予期していたより以上の意味深長な言葉であった。「なるほど。」と彼は言った。 |
アントン・チェーホフ |
【犬を連れた奥さん】
例えば彼の妻のように、その愛し方たるやさっぱり実意の伴わぬ、ごてごてと御託ばかりたっぷりな、変に気どった、ヒステリックなものであるくせに、さもさもこれは色恋などといった沙汰(さた)ではない、何かもっと意味深長なことなのですよと言わんばかりの顔をする連中もある。
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ニコライ・ゴーゴリ |
【外套】
【厳格、厳格、また厳格。】と彼はいつも口癖のように言っていたが、その最後の言葉を結ぶ時には、きまって相手の顔をひどく意味深長に眺めやるのであった。
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