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一夫多妻
いっぷたさい |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【第四の夫から】
一夫一妻の基督(キリスト)教徒は必ずしも異教徒たる僕等よりも道徳の高い人間ではない。のみならず事実上の一妻多夫は事実上の一夫多妻と共に、いかなる国にもあるはずである。
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福沢諭吉 |
【日本男子論】
されば夫婦家に居(お)るは必ずしも常に快楽のみに浴すべきものにあらず、苦楽相平均して幸いに余楽を楽しむものなれども、栄枯無常の人間世界に居れば、不幸にしてただ苦労にのみ苦しむこともあるべき約束なりと覚悟を定めて、さて一夫多妻、一婦多男(ただん)は、果たして天理に叶(かな)うか、果たして人事の要用、臨時の便利にして害なきものかと尋ぬるに、我輩は断じて否(いな)と答えざるを得ず。
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福沢諭吉 |
【女大学評論】
扨又結婚の上は仮令い命を失うとも心を金石の如くに堅くして不義するなとは最も好き教訓にして、男女共に守る可き所なれども、我国古来の習俗を見れば、一夫多妻の弊は多くして、一妻多夫の例は稀なるゆえ、金石の如き心は特に男子の方にこそ望ましけれ。然るに此男子をば余処(よそ)にして独り女子を警しむ、念入りたる教訓にして有難しとは申しながら、比較的に方角違いと言う可きのみ。
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与謝野晶子 |
【私の貞操観】
男子が一人で同時に幾人の女を独占することは丁度今もその遺風を伝えている土耳古(トルコ)帝の如きものであった。一夫多妻は最も元始的なものである。一夫多妻となれば多妻の間に嫉妬の生ずるのは当然である。女子も遅れて嫉妬を感ずるに到った。
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久生十蘭 |
【犂氏の友情】
ひとくちに言うと、先生は、道徳は進歩するものか退歩するものかという、一見、迂遠な学問に憂身(うきみ)を窶(やつ)していられるのである。たとえば、一夫多妻の制度が、厳重な一夫一妻制度に発達した、こういう事実からみて、道徳は進歩するものと考えられる。 |
北村透谷 |
【国民と思想】
止むなくんば多妻主義となりて、この二娘を合せ娶れよ、汝はこの婚嫁によりて爾の精神を失迷せしむべからず、然り、爾に大なる元気(Genius)の存するあり、一夫一妻となるも、一夫多妻となるも、爾の元気に於て若し欠損するなければ、爾は希望ある国民なり。
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田中英光 |
【野狐】
ところで私は、俗物たちが妾(めかけ)をもって平然としているように、一夫多妻主義で納まっていることはできない。道徳的には妻子のもとに帰るのが正しいと思われたし、新しい私の道徳からいえば、たとえ前身がなんであろうと、前の妻と別れ、より愛している女、桂子と一緒になることが正しいように感じられた。
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中里介山 |
【大菩薩峠 農奴の巻】
彼が高唱する出鱈目(でたらめ)のその多くは、突飛であり、お愛嬌であるに過ぎないが、彼の口から、一夫多妻、一妻多夫論の一端を高唱せしむるに至っては、断じて、お愛嬌なる出鱈目の一種としてのみ看過せらるべきではない。
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南方熊楠 |
【十二支考 馬に関する民俗と伝説】
もし同姓婚が絶対に繁殖の力乏しきものなら、最初の動植が同姓にして如何ぞ無数の後胤を遺し得んや。それからインドで一夫多妻の家の妻と一妻多夫の家の妻とが父系統母系統の優劣について大議論したのを読んだが今ちょっと憶い出さぬ。
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