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石部金吉
いしべきんきち |
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作家
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作品
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織田作之助 |
【世相】
私はその手つきを見るたびに、いかに風采が上らぬとも、この手だけで岡惚れしてしまう年増女もあるだろうと、おかしげな想像をするのだったが、仲居の話では、大将は石部金吉だす。酒も煙草も余りやらぬという。
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宮本百合子 |
【若い婦人の著書二つ】
けれども、「お世辞だらけの縁談はまっぴら」というなかで大迫さんが、結婚の対手が石部金吉では窮屈だ、若いころの恋愛ならいくらあったって少しも縁談にさしつかえない、ただそのひとの純粋さえ失わなければそれでいいと思う、といい切っていることは、今日の娘がどんなに旧来の嫁、妻という境遇の束縛から自由になりたがっているかということと考え合わせ、さまざまの感想をそそられた。
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宮本百合子 |
【獄中への手紙 一九四一年(昭和十六年)】
理屈一片にこの人間の心と体とが支えられるものですか。愛情というものだって、つまりはそこまでのぼる階(きざはし)ですもの。いつも思うのよ、人間の本当の美しさの感じが分ると、その人はそれ故に世俗的道義の典型になるところもあると。堅忍とか貞潔とか、石部金吉でなくて、しかもそれはその人にとって乱れがたい自然の統一となったりしてね。
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夢野久作 |
【鼻の表現】
男性では頑冥不霊の石塔の鼻や、微塵も色気の無い石部金吉の鼻、鉄のように頑強な性質、又は銅臭に囚われた人、或は金ピカ自慢の方なぞがこの部類であります。いずれにしても或る硬度にまで凝り固まった融通の利かぬタチで、中には合金や鍍金(めっき)、流し金なぞで満足している人もあるという次第で、各(おのおの)とりどり様々にその持ち前の性格を鼻の表現に光らせております。
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国枝史郎 |
【八ヶ嶽の魔神】
「女大明神と崇(あが)めようぞ」「それにしてもその女はどこに囲われているのであろう?」「どうぞ一眼見たいものだ」「いずれ美人に相違あるまい」「石部金吉の若殿をころりと蕩(たら)した女だからの、それは美人に相違ないとも」「いやいや案外そうではあるまい。
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