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一進一退
いっしんいったい |
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作家
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作品
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太宰治 |
【人間失格】
それから三年と少し経ち、自分はその間にそのテツという老女中に数度へんな犯され方をして、時たま夫婦喧嘩(げんか)みたいな事をはじめ、胸の病気のほうは一進一退、痩せたりふとったり、血痰(けったん)が出たり、きのう、テツにカルモチンを買っておいで、と言って、村の薬屋にお使いにやったら、いつもの箱と違う形の箱のカルモチンを買って来て、
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幸田露伴 |
【運命】
王の子高煦(こうこう)、張玉等の軍を率いて斉(ひと)しく進む。両軍相争い、一進一退す、喊声(かんせい)天に震い 飛矢(ひし)雨の如し。
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高村光太郎 |
【智恵子抄】
一箇月の療養と看護とで平復退院。それから一箇年間は割に健康で過したが、そのうち種々な脳の故障が起るのに気づき、旅行でもしたらと思つて東北地方の温泉まはりを一緒にしたが、上野駅に帰着した時は出発した時よりも悪化してゐた。症状一進一退。彼女は最初幻覚を多く見るので寝台に臥(ふ)しながら、其を一々手帳に写生してゐた。
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坂口安吾 |
【我鬼】
朝鮮軍は鉄砲を持たないから戦争は一方的で京城まで抵抗らしい抵抗もなく平地を走るやうなものであつたが、明の援軍が到着すると、さうはいかない。対峙して一進一退、戦局は停頓する。
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岡本綺堂 |
【中国怪奇小説集 夷堅志】
汪は眼をとじて、いよいよ一心に念誦(ねんじゅ)していると、蛇は一丈ほどの前まで進んで来ながら、何物にかさえぎられるように逡巡(しりご)みした。一進一退、おなじようなことを三度も繰り返した後に、蛇は遂に首を伏せて立ち去ってしまった。
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原民喜 |
【冬日記】
かと思うと、ふと爽(さわ)やかな恢復期(かいふくき)の兆(きざし)が見えたりして、病気は絶えず一進一退していた。
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宮本百合子 |
【墓】
荻村の健康は常から苦情がちであったが、風邪がこじれ、肺炎になった。一進一退しているうちに、酸素吸入が必要にまで至った。荻村は五十二歳であった。……
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島木健作 |
【ジガ蜂】
私はかういふものたちを伴侶にして冬を籠つた。その間にも病気は一進一退した。
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蒲原有明 |
【夢は呼び交す ――黙子覚書――】
しばしば迷眩(めいげん)を感ずるようになったのは、それからのことである。そういう状態が一進一退して、長いことかれを苦しめ抜いた。
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伊藤左千夫 |
【野菊の墓】
それを見ると僕もまたたまらなく気の毒になる。感情の一進一退はこんな風にもつれつつ危くなるのである。とにかく二人は表面だけは立派に遠ざかって四五日を経過した。
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豊島与志雄 |
【二つの途】
啓介と二人で逃げ込んだ木下の家、初めの苦しい而も楽しい五ヶ月、それから啓介の病気、一進一退する長い病気、苛ら立ちと疲労、――それらの過去が一つの大きな影となって、脅かすように彼女の後ろに突っ立った。
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平林初之輔 |
【諸家の芸術価値理論の批判】
「問題の後戻りは運動の実践にとつては不利益だ」と川口氏は言はれる。だが問題を矛盾のまゝに残し、何一つ整理しないで頭の中へごちやごちやに詰めこんで、先へ/\とパツスしてゆくのは更に不利益だ。マルクスは川口氏とは反対に、プロレタリアの闘争は、一進一退、進んだかと思ふと又退き、征服したものを更に征服しなほさねばならぬ、非常な忍耐を要する闘争だと言つてゐる。
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佐々木味津三 |
【旗本退屈男 第三話
後の旗本退屈男】
つづいて第四周目に及んだとき、さらに両名は二馬身ずつうしろの二人を抜いて、黒白両頭の名馬は、一進一退馬首を前後させながら、次第に第五周目の決勝点に迫りつつあったので、大坪流の古高勝名乗りをうけるか、八条流の黒住勝つか、場内の者等しく手に汗を握ったとき!
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