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意趣遺恨
いしゅいこん |
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作家
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作品
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森鴎外 |
【護持院原の敵討】
三右衛門は精神が慥(たしか)で、役人等に問われて、はっきりした返事をした。自分には意趣遺恨を受ける覚(おぼえ)は無い。白紙の手紙を持って来て切って掛かった男は、顔を知って名を知らぬ表小使である。多分金銀に望(のぞみ)を繋(か)けたものであろう。家督相続の事を宜(よろ)しく頼む。敵(かたき)を討ってくれるように、伜に言って貰(もら)いたいと云うのである。
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泉鏡花 |
【革鞄の怪】
お見受け申すと、これから結婚の式にお臨みになるようなんです。いや、ようなんですぐらいだったら、私(わたくし)もかような不埒(ふらち)、不心得、失礼なことはいたさなかったろうと思います。 確(たしか)に御縁着きになる。……双方の御親属に向って、御縁女の純潔を更(あらた)めて確証いたします。室内の方々も、願わくはこの令嬢のために保証にお立ちを願いたいのです。 余り唐突な狼藉(ろうぜき)ですから、何かその縁組について、私(わたくし)のために、意趣遺恨でもお受けになるような前事が有るかとお思われになっては、なおこの上にも身の置き処がありませんから――」 |
三遊亭圓朝 |
【菊模様皿山奇談】
喜「あ痛い……誠に済みませんが、懐から落ちたゞから御勘弁を願(ねげ)えます」甲「これ彼処(あすこ)に下足を預(あずか)る番人があって、銘々下足を預けて上(あが)るのに、懐へ入れて上る奴があるものか、是には何か此の方に意趣遺恨があるに相違ない」 喜「いえ意趣も遺恨もある訳じゃねえ、お前様(めえさま)には始めてお目に懸って意趣遺恨のある理由(わけ)がござえません、私(わし)は何(なん)にも知んねえ田舎漢(いなかもの)で、年も取ってるし、御馳走の酒を戴き、酔払いになったもんだから、身体が横になる機(はず)みに懐から雪踏が落ちただから、どうか御勘弁を」 |
三遊亭圓朝 |
【業平文治漂流奇談】
八方へ手を廻して探しましたが分りません。娘は泣く/\野辺の送りをするも貧の中、家主や長家の者が親切に世話をしてくれます。お町は思い出しては泣いてばかり居ります。ふと考え付いたのは流石は武士の娘でございます、お父様(とっさま)を殺したのは意趣遺恨か知れないが、何しろ女の腕では讎(かたき)を討つことが出来ない、自分も二百四十石取った士(さむらい)の娘、切(せ)めては怨みを晴したいが兄弟もなし、別に親類もない、
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岡本綺堂 |
【半七捕物帳 歩兵の髪切り】
そこで鮎川や増田がなぜそんなことをしたか。それは単なるいたずらでない、自分たちの意趣遺恨でもない、恐らく何者にか頼まれたのであろう。彼等は何者にか買収されて、歩兵隊の威光と信用とを傷つけるために、こんな悪戯(いたずら)めいた事を続行したらしい。騒動があまり大きくなったので、この頃はしばらく中止しているが、あわ好くば小隊全部の髪を切ってしまうつもりかもしれない。
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佐々木味津三 |
【右門捕物帖 幽霊水】
「なんでえ、べらぼうめ。じゃ、おめえはおれに、その幽霊水の正体を見届けてくれろと頼みに来たんじゃねえのかい」「来たんです。来たんだからこそ、このあとを聞いておくんなさいましというんです。だからね、嵐の三左衛門もとうとう考えちまったというんですよ。こいつあただごとじゃねえ、どいつかきっと意趣遺恨があって、そんなまねするんだろうとね、いろいろ考えて、あれかこれかと疑わしい者に見当つけていったところ、同じその奥山で小屋を並べながら、やっぱり若衆歌舞伎のふたをあけている、江戸屋江戸五郎っていう役者があるんですよ。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 弁信の巻】
即日、つまり命令のあった翌日の朝未明に、今度は急角度の転向転換などということはなく、道庵自身もさきに立って、いざ鹿島立ちという時に、道庵が容(かたち)を改めて米友に向っていうようは、「時に、友様、わしは今までお前に向って隠していたが、実は敵持(かたきも)ちの身なんだ」 米友は、変な面(かお)をしてそれを聞きました。敵持ちといえば、つまり自分が何か人の意趣遺恨を受けて、敵に覘(ねら)われているということになるのだが、今までそういうことを聞いたこともなし、左様な警戒を試みていたこともないのに、不意に妙なことを言い出されたものかなと感心したのです。 |
林不忘 |
【丹下左膳 乾雲坤竜の巻】
何か、お聞きになりませんでしたかね?」「はい。そう言えば、そんなようなこともちらと小耳にははさみましたが――それでなんですい、その暴れこんだ連中てのは? 意趣遺恨(いしゅいこん)とでもいうような筋あいですかい?」 「それがさ、その下っ引きの言うことにゃあ、なんでも同じ晩に二組殴りこみをかけたらしいんだが、あとから来たのは火事装束のお侍が五人――というんですけれど、さあ、なんのための斬り合いだか、そいつが皆目(かいもく)わからねえ」 |
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