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異体同心
いたいどうしん |
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作家
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作品
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泉鏡花 |
【婦系図】
お蔦は、たとい貴郎が、その癖、内々お妙さんに岡惚(おかぼれ)をしているのでも可い。河野に添わせるくらいなら、貴郎の令夫人(おくさん)にして私が追出(おんだ)される方がいっそ増だ、とまで極端に排斥する。この異体同心の無二の味方を得て、主税も何となく頼母(たのも)しかったが、さて風はどこを吹いていたか、半月ばかりは、英吉も例(いつも)になく顔を見せなかった。 と一日(あるひ)、 (早瀬氏は居(お)らるるかね。) |
中里介山 |
【大菩薩峠 新月の巻】
米友は、いつも考えて恩に着ている通りを、今もまた思い返したのに過ぎませんが、今日は、どうしたものか、それに一歩を進めて、「だが、人間というやつぁ、生きているのが幸福(しあわせ)か、死んでしまった方が楽なのか、わからねえな」 生死のことを考えると、どうしても米友は異体同心の昔の友を思わずにはおられません。昔の友というのは、間(あい)の山(やま)以来のお君のことです。お君を考えると、ムク―― 「今ごろは、どこにどうしていやがるんだかなあ」 さすがの豪傑米友が、ここに来ると、どうしても半七さんの安否を思いわずらうようなセンチメンタルの人となるのを、如何(いかん)ともすることができない。 ああ、このごろ少し紛れていたのが、また湧き上って来やがった。 |
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