|
■このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
我田引水
がでんいんすい |
|
作家
|
作品
|
---|---|
石川啄木 |
【道】
『僕は唯『一体あれは 『さあ。貴方は何と思ひます?』 『解らないわ。………。』 『我田引水ですね。』 『ぢやないのよ。ですけれども、何だかそんな気がするわ。』 |
直木三十五 |
【大衆文芸作法】
我田引水のように聞えるかもしれないが、敢て手前味噌を云えば、拙作「由比根元大殺記」(目下「週刊朝日」連載中)の中の立廻りは、今までの大衆文芸のありふれた立廻りとは稍趣きを異にして、内面的にも外形的にも可成り「剣術」の正道に当嵌った描写を注意してやっている積りであるから、もし読者諸君に興味があるなら、読んで欲しいと思うということを附加しておく。
|
織田作之助 |
【それでも私は行く】
小郷は大分前から、君勇を口説いていた。旦那になろうというのである。しかし、君勇はもはや旦那を取る気はなかった。落ちぶれた三好と縁が切れて以来、つくづく旦那を取るのがいやになっていたのだ。おまけに、小郷という男はいやでいやで、反吐が出るくらいだったから頭から断っていた。 小郷はしかし執拗に諦めず、無論今夜もそのつもりで来ていたのだ。 だから、君勇が酔いたいといったのをきいて、小郷はもしかしたら君勇もいよいよ気が折れて、うんというつもりじゃなかろうかと、我田引水した。 「まア、飲め、うんといわなきゃ帰らないぞ」 「へえん……おおーけに」 |
北大路魯山人 |
【鮎の名所】
あゆは土地土地で自慢するが、それは獲りたてを口に入れるからで、結局地元がいちばんうまい。すべて小型なほどよい。岐阜人もなかなか自慢らしいが、瀬が激しくないとみえて身がしまらず、ブヨブヨしていて一流品とはいい難い。瀬が激しければ肉がしまるらしい。岐阜は しかし、地方人は都会人のように、さまざまのものを体験していないから、勢い我田引水におちいる。あゆにしても、まつたけにしても、いろいろと経験してこれがいいということにならないと、ものの真価をつかむことはできないものだ。井の中の |
岸田國士 |
【新劇界の分野】
私は、自ら一つの立場をもつてゐる演劇研究者であり、殊に、意識的にも、無意識的にも限られた趣味に活きる芸術修道者であるから、期せずして我田引水に陥るかもわからないが、努めて公平な態度を持しつつ現代の戯曲界、並に演劇界の分野について、簡単なる討究を試み、主なる傾向の特色を明かにしたいと思ふ。
|
菊池寛 |
【四条畷の戦】
或日、武将達が集って、建武中興で一番手柄のあった者は誰だろうと議論があった。各々我田引水の手柄話に熱を上げて居ると、正成は「それは菊池(武時)だろう」と言った。滅多に人をほめたことのない新田義貞も、此の一言には非常に感動したと云う(『惟澄文書』)。その謙抑知るべしだ。
|
伊藤左千夫 |
【去年】
善人の罪を犯さないのは、その善人なるがゆえでなく、決行の勇気を欠くためにしかるのではあるまいか。少しく我田引水に近いが僕の去年の境遇では、僕がどこまでも精神上の清潔を保持するならば、僕の一家は離散するのほかはなかったし罪悪と知って罪悪を犯した苦しさ悲しさは、いまさら繰り返す必要もない。
|
宮本百合子 |
【獄中への手紙 一九四三年(昭和十八年)】
野上豊一郎はギリシアの古典劇と能の構成の類似をあげて文博にもなりヨーロッパへもゆきました。しかし能は、一筋の道を辿りつづけて、ギリシアの古典祭のパントマイムのように、そこから舞踊や芝居、オペラを分岐発生させはしませんでした。テーマはやったがテクニックとしては。そこにも何か面白いことが見出されそうね。そして白状すると、わたしは自分ですこし覚えたいことは女学生時代から一遍自分で書いてみると、すっかり頭に入る癖だから、一寸あなたに我慢して頂いたのよ。しかし更に一つ我田引水をすれば、私たちの常識は広くて邪魔なことは決してなく、昨今の作家たちの広地域での活動ぶりを見ると、寧ろ常識の弱困になやむようです。
|
中里介山 |
【大菩薩峠 流転の巻】
そこで、なるほど、外国人の眼から見た時は、階級制度の烈しい日本の国では、貴族と、平民との関係が、こうも見えるのかしら、これでは野蛮人扱いだ、と思いました。しかしこれは、西洋で十六世紀から十七世紀の間、日本では戦国時代から徳川の初期へかけて日本に渡来した、主として耶蘇教の宣教師の目に映った日本人の観察である、日本人自身では気のつかない適切な見方もあろうが、また思いきった我田引水もあるようだ――現に日本貴族の傲慢なる風習を改めしむるの道は、耶蘇の教えを以てするよりほかはない、と断言したところなど、日本に宗教なしと
だが、耶蘇の教えが、偽善と驕慢を憎んで、愛と謙遜を教えるところに趣意の存することは、 |
岡本綺堂 |
【綺堂むかし語り】
なにか特別の理由があって、一つの人形を大切にする人、または |
|