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外柔内剛
がいじゅうないごう
作家
作品

新渡戸稲造

【自警録】

 前章に僕は外柔内剛がいじゅうないごうにつき少しく述べたが、内剛については所説のいまだつくさぬところがあったから、いま章をあらためて所感を述べたい。僕はいろいろなる人々と対談し、あるいは種々なる人々より受取る手紙により、世には階級の上下を問わず、年の老若を論ぜず、自分は気が弱くて困る、どうかもっと気を強くする工夫くふうはあるまいかとたずねられることがしばしばある。

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織田作之助

【可能性の文学】

  だから、私は小説家というものが嘘つきであるということを、必要以上に強調したくないが、例えば私が太宰治や坂口安吾とルパンで別れて宿舎に帰り、この雑誌のN氏という外柔内剛の編輯者の「朝までに書かせてみせる」という眼におそれを成して、可能性の文学という大問題について、処女の如く書き出していると、雲をつくような大男の酔漢がこの部屋に乱入して、実はいま闇の女に追われて進退 きわまっているんだ、あの女はばかなやつだよ、おれをつかまえて離さないんだ、清姫みたいな女だよ、今夜はここへかくまってくれと言うのを見れば、ルパンで別れた坂口安吾であった。

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折口信夫

【万葉集研究】

男のこひ歌に対しても、女歌は従順でないものが多い。 或は外柔内剛なうけ流しが多かつた。 相聞・挽歌・民謡などにある女歌らしいのゝ情熱的なものも、大抵古詞以来の類型か、叙事詩の変造か、誇張した抒情かである事は、早く言うた。

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矢田津世子

【茶粥の記】

あの塗物で有名な能登の輪島ですな、あそこの鮑も結構なもんです。鮑の中のお職ですな。外向きは実に堅い。ちょっと歯をあてたぐらいでは、へこまない。ところが噛ってみると実に柔らかなんだ。コリコリと……そのくせ、こいつが舌の上でとろけていく。外柔内剛、いや外剛内柔か。あれが鮑の中の鮑でさ

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種田山頭火

【行乞記 (一)】

 十一月廿五日 晴、河内水源地散歩、星城子居、雲関亭、四有三居。

ほがらかな晴れ、俊和尚と同行して警察署へ行く、朝酒はうまかつたが、それよりも人の情がうれしかつた、道場で小城氏に紹介される、氏も何処となく古武士の風格を具へてゐる、あの年配で剣道六段の教士であるとは珍らしい、外柔内剛、春のやさしさと秋のおごそかとを持つ人格者である、予期しなかつた面接のよろこびをよろこばずにはゐられなかつた、

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北大路魯山人

【良寛様の書】

 畢竟は外柔内剛の完成である。すべてよき芸術は、外柔内剛と決っているからである。これに反しよからぬ芸術は大抵外剛内柔である。前者は雅美に富み、後者は俗雅に走っている。いずれにしてもこの世の欲を捨てきった不思議な人格と、専門家にも見難き技能を兼ね、しかも持って生れた雅と美の要素をその書に盛りつけてつつましく見参した良寛様の書のごときは、少なくとも徳川時代における驚異であって、他に一人たりとも書道行道において相似たものはなかったはずである。

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吉川英治

【新書太閤記 第六分冊】

 信長に亡ぼされた斎藤家の遺臣たることを思えば、信長の居室の装飾に、その筆を用いることをいさぎよしとしなかった彼の心事はわかる気がする。
  外柔内剛がいじゅうないごうということばは友松の人がらにそのままあてはまる。その友松なればこそ、光秀の聡明も理性も信じられなかったのである。この冷静や叡智えいちもひと足踏みすべらすと、いつなん時、常識の大河を決して、みずから濁流に身をまかせないとも限らない――およそ正反対なあぶな気を――この人も多分に持っていることを彼は平常からはらはらした眼で見ているのだった。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
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Last updated : 2024/06/28