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眼高手低
がんこうしゅてい |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【あの頃の自分の事】
久米は文壇的閲歴の上から云つて、ずつと我々より先輩だつた。と同時に又表現上の手腕から云つても、やはり我々に比べると、一日の長がある事は事実だつた。特に自分はこの点で、久米が三幕物や一幕物を容易にしかも短い時間で、書き上げる技倆に驚嘆してゐた。だから我々の中で久米だけは、彼自身の占めてゐる、或は占めんとする、文壇的地位に相当な自信を持つてゐた。さうしてその自信が又一方では、絶えず眼高手低の歎を抱いてゐる我々に、我々自身の自信を呼び起す力としても働いてゐた。実際自分の如きは、もし久米と友人でなかつたら、
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坂口安吾 |
【戦後合格者】
しかし芸術の横のレンラクということだけではまだ不足で、たとえば「文学座」の演技を見ても痛感されることは、子供の時から芸術になれ芸術を友だちにして育った生活がないというところからくるギゴチなさである。つまり頭は進んでいても眼高手低をまぬがれない。これを子供の時からその世界で叩きあげている「歌舞伎」にくらべると、新劇の眼高手低の甚しさがハッキリする。
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坂口安吾 |
【長島の死】
さりとて、彼はディレッタントと呼ぶべき人間でもない。彼の生活はディレッタント風の女性的なものではなく、あまりに凄惨で生ま生ましかった。併し、ディレッタント式の宿命的な眼高手低は、生理的にどうすることもできなかったのである。
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坂口安吾 |
【篠笹の陰の顔】
高木は私を文学の上の敵としてゐた。狭い世界に突きつめて生きてゐたから、さういふ感情の異常な激しさも仕方がない。語学でも分るやうに特異な頭脳であつたが、週期的な精神錯乱のせゐなどあつて、構成や表現が伴はず、眼高手低、宿命的な永遠の傑れたディレッタントであつた。私への愛と又憎しみを私はもとより知つてはゐた。
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坂口安吾 |
【安吾の新日本地理 宝塚女子占領軍――阪神の巻――】
私は「雲の会」の会員であるから、文学座を見物したり、新劇運動を応援したりする義務があるけれども、宝塚の生徒さんにくらべると、新劇の女優さんは女子大学を卒業あそばしたりして大そう学がおありだけれども、芸術というものは、学だけではどうにもならない。眼高手低は芸術にならないのである。見ているとハラハラするから、たのしむというわけに参りません。
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