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頑迷固陋
がんめいころう
見識が狭く、自分の考えだけが正しいと信じて柔軟さがないさま。また、古い習慣に固執して適切な判断ができないこと。また、そのさま。
作家
作品

坂口安吾

【大阪の反逆】

 江戸の精神、江戸趣味と称する通人の魂の型は概ね荷風の流義で、俗を笑ひ、古きを尊び懐しんで新しきものを軽薄とし、自分のみを高しとする、新しきものを憎むのはたゞその古きに似ざるが為であつて、物の実質的な内容に就て理解すべく努力し、より高き真実をもとめる根柢の生き方、あこがれが欠けてゐる。これの卑小を省る根柢的な謙虚さが欠けてゐるのだ。わが環境を盲信的に正義と断ずる偏執的な片意地を、その狂信的な頑迷固陋さの故に純粋と見、高貴、非俗なるものと自ら潜思してゐるだけのこと、わが身の程に思ひ至らず、自ら高しとするだけ悪臭 芬々ふんぷんたる俗物と申さねばならぬ。

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戸坂潤

【社会時評】

イギリスはこうして印度に恩沢を施した。日本はそれを更に親切な仕方でやるのだから、支那側に文句のある筈はないのである。――処が頑迷固陋の中国人は、自分の畑を他人が耕して呉れるのを、どういうわけだか余り歓迎しないのではないかと思われる。例えば当然無条件に支那側が恐縮して然るべき例の不敬事件に就いても、中国国民は必ずしも恐縮してはいないらしい。却って、この事件の責任者の公判廷には、排日宣伝ビラが貼られたり、傍聴人が被告と握手して之を激励したり、弁護人と傍聴の党員とが計画的に騒擾を起こしたりしているのである。

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小栗虫太郎

【黒死館殺人事件】

無髯むぜん赭丹しゃたん色をした顔には、顴骨かんこつ突起と下顎骨が異常に発達している代りに、鼻翼の周囲が陥ち窪み、その相はいかにも醜怪で――と云うよりもむしろ脱俗的な、いわゆる胡面梵相こめんぼんそうとでも云いたい、まるで道釈画か十二神将の中にでもあるような、実に異風な顔貌だった。そして、頭に印度帽テュルバンを載せたところといい――そのすべてが、一語で魁異グロテスケリと云えよう。しかし、どこか妥協を許さない 頑迷固陋がんめいころうと云った感じで、全体の印象からは、甲羅のような外観みかけがするけれども、そこには、鎮子のような深い思索や、複雑な性格の匂いは見出されなかった。なお、その手働四輪車は、前部の車輪は小さく、後部のものは自転車の原始時代に見るような素晴らしく大きなもので、それを、起動機と制動機とで操作するようになっていた。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
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Last updated : 2024/06/28