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画竜点睛
がりょうてんせい 《壁に描いた龍の絵に、最後に |
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作家
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作品
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夏目漱石 |
【手紙】
そういう訳で、自分は多大の興味をもってこの長い手紙をくすくす笑いながら読んだ。そうして読みながら、こんなに女から思われている色男は、いったい何者だろうかとの好奇心を、最後の一行が尽きて、名あての名が自分の目の前に現われるまで引きずっていった。ところがこの好奇心が遺憾なく満足されべき |
夏目漱石 |
【思い出す事など】
「もし最後の一節を欠いたなら、余はけっして正気ではいられなかったろう」と彼自身が物語っている。気が狂うほどの緊張を幸いに受けずとすんだ余には、彼の恐ろしさ嬉しさの程度を |
正岡容 |
【小説 圓朝】
そこへいくとこの文楽師匠は赤でなし、青でなし、巧緻に両者を混ぜ合わせたああ、それにつけてもいと切におもわずにはいられない、下らなく悪騒々しい連中は速やかにうちの師匠のような本格の青さを加えて紫の花香もめでたく。噺に 同時に、噺の筋はたしかだが青ひといろで陰気だと鼻つまみにされている面々は、これまた適当に赤を混ぜることだ。そのとき各々の人たちの芸はそれぞれ皆はじめて画竜点睛、ポッカリと江戸紫の花咲きそめることだろう。 とするとどうだ、この私は。 青――あまりにも青だった。 |
寺田寅彦 |
【映画雑感】
蛮人の顔のクローズアップにはこの映画に限らず頭の上をはう |
中井正一 |
【美学入門】
東洋における絵画が悟りの道であるといったような考えかたなどは、かかる考えかたにあたかも似ている。それは画竜点睛などという言葉があるように、竜の目を入れる日のためにあらゆる竜は描かれており、自分の生命の存在への「問い」が答えられた、高まった瞬間にこの竜の目を入れて、彼は自在の世界に移入しているのである。存在の最も高揚したその瞬間のためにこの絵画は用意されているのである。
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久生十蘭 |
【魔都】
これと同じころ、時間でいえばちょうど午後五時ごろ、永田町内相官邸では内務外務両大臣、各次官、欧亜局長、警保局長の六人が会議室の大テーブルを囲んで苦慮心痛の体である。いずれも金ピカの大礼服をつけ、眉間に皺を寄せて無言のままに凝り固まっているようすというものは、さながら「政府の心配」とでも題した諷刺画のよう。西側の大きな窓から問題の有明荘の灯影が一つ二つ樹の間を通して仄見えるのは、この際背景としてまことに適切、まさに画竜点睛の趣きがあるのである。日ごろでさえも浮世の風があまり露骨には吹きつけぬ界隈。まして一月元日の夕景ともなるなれば四辺
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