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偕老同穴
かいろうどうけつ
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作家
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作品
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【吾輩は猫である】
主人はまず腰の辺から観察を始めて徐々と背中を伝って、肩から頸筋に掛ったが、それを通り過ぎてようよう脳天に達した時、覚えずあっと驚いた。――主人が
偕老同穴を契った夫人の脳天の真中には真丸な大きな禿がある。しかもその禿が暖かい日光を反射して、今や時を得顔に輝いている。
昔しなら文句はないさ、異体同心とか云って、目には夫婦二人に見えるが、内実は一人前なんだからね。それだから
偕老同穴とか号して、死んでも一つ穴の狸に化ける。野蛮なものさ。今はそうは行かないやね。夫はあくまでも夫で妻はどうしたって妻だからね。その妻が女学校で行灯袴を穿いて牢乎たる個性を鍛え上げて、束髪姿で乗り込んでくるんだから、とても夫の思う通りになる訳がない。
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【二日物語】
君にて御坐せしよ、こはいかに、と涙に顫ふおろ/\声、言葉の文もしどろもどろに、身を投げ伏して取りつきたるは、声音に紛ふかたも無き其昔
偕老同穴の契り深かりし我が妻なり。厭いて別れし仲ならず、子まで
生したる語らひなれば、流石男も心動くに、況して女は胸逼りて、語らんとするに言葉を知らず、巌に依りたる幽蘭の媚かねども離れ難く、たゞ露けくぞ見えたりける。
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【新女大学】
一 女子の結婚は男子に等しく、他家に嫁するあり、実家に居て壻養子するあり、或は男女共に実家を離れて新家を興すことあり。其事情は如何ようにても、既に結婚したる上は、夫婦は偕老同穴、苦楽相共の契約を守りて、仮初にも
背く可らず。女子が生涯娘なれば身は却て安気なる可きに、左りとては相済まずとて結婚したるこそ苦労の種を求めたるに似たれども、男女家に居るは天然の命ずる所にして、其居家の楽しみは以て苦しみを償うて余りある可し。故に結婚は独身時代の苦楽を倍にするの約束にして、快楽も多き代りに苦労も亦多し。夫婦正しく一身同体、妻の病気には夫の身を苦しめ、夫の恥辱には妻の心を痛ましめ、其感ずる所に些少の相違あることなし。世の男女或は此賭易き道理を知らずして、結婚は唯快楽の一方のみと思い却て苦労の之に伴うを忘れて、是に於てか男子が老妻を捨てゝ妾を飼い、婦人が家の貧苦を厭うて夫を置去りにするなどの怪事あり。畢竟結婚の契約を重んぜざる人非人にこそあれ。慎しむ可き所のものなり。
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【宝塚生い立ちの記】
私は、見合結婚した夫婦には結婚後、自然に恋愛感情が起って来る、しかもその恋愛は若い者同士の熱病みたいなものと違って、さめやしない、いくらでも長く続くものだ、というふうに解釈している。だから、今までよくあった圧制的な見合結婚はいけないが、あらゆる方面で聞きあわして、これならいい、いわゆる良縁だというのであれば、その上に生ずる愛情は、偕老同穴の契りを結ぶ人生の最後まで円満に行くものだと思っている。
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【鏑木さん雑感】
たゞ人と人との間のカン、或ひはウマといふものは、これは有るものである。ヘンな事をいひ出せば、そのカン故に初めて相逢つた異性同士が存外そのまゝ偕老同穴の契りを結ぶこともある世の中だ。少々我田引水めくけれども、ぼくは逢つてゐることではちよくちよく鏑木さんに逢つてゐる。
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【鼻の表現】
これは人情の自然、まことに止むを得ないところで、エイ子にはビー子とシー子の存在を秘密にして
偕老同穴を誓っている。ビー子にはエイ子とシー子の事に就いて口を拭うて共白髪を誓う。シー子の前では又、お前こそ俺のいの一番のシー子さんだと言明する。いずれも注文に応じて即座に情死を承知する位の第一義を挑発しようと努めているのであります。
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【怪談牡丹灯籠】
伴「そんなら先生、幽霊と一緒に寝れば萩原様は死にましょう」
勇「それは必ず死ぬ、人は生きている内は陽気盛んにして正しく清く、死ねば陰気盛んにして邪に穢れるものだ、それゆえ幽霊と共に
偕老同穴の契を結べば、仮令百歳の長寿を保つ命も其のために精血を減らし、必ず死ぬるものだ」
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Last updated : 2024/06/28