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各人各様
かくじんかくよう |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【桜の森の満開の下】
一人だとまだよいので、なぜかというと、花の下を一目散に逃げて、あたりまえの木の下へくるとホッとしてヤレヤレと思って、すむからですが、二人連は都合が悪い。なぜなら人間の足の早さは各人各様で、一人が遅れますから、オイ待ってくれ、後から必死に叫んでも、みんな気違いで、友達をすてて走ります。
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中原中也 |
【よもやまの話】
どうせ人間のすることとては、数の知れたものである。人間行事のカタログをひろげ、あれかこれかと迷ふ程愚かな姿もないものである。好きな仕事が一つあり、たえずそれに心が集中される時に初めて、人生変化も感じられるといふものである。さういつたつて、今我々には「集団」の声は余りに耳近く響き、各人各様の閑暇なぞ、却々以てあるべくもない。それは深窗にゐようと、路上にゐようとおんなしである。 |
寺田寅彦 |
【徒然草の鑑賞】
いわんや嘘か本当か結局証明の不可能な当世流行何々イズムなどに対する人々の態度には猶更よくあてはまるであろう。読者は試みに例えば、マルキシズムに対する現代各人各様の態度を「あまりに深く信をおこして」以下の数行にあてはめて見るとなかなかの興味があるであろう。
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伊丹万作 |
【映画と民族性】
太平洋戦争が開始されて以来、外地向け映画の問題がやかましく論議せられ、各人各様の説が横行しているが具体的には何の成果もあがらないのは芸術の生命が政治的要求だけで自由にならないことを証明しているようなものである。
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宮本百合子 |
【異性の何処に魅せられるか】
斯ういう感情上のことは、各人各様であって、「男子は」「婦人は」と概括的に考えると、至極平凡なつまらないものになってしまいます。此世の何より、金持がいい人もあろう。美貌の異性がよい人もあろう。知識的なのが第一な人もあるでしょう。一種の人間としての魅力が、普通考える美点、美徳でない場合も多くあります。私は男にしろ、女の人にしろ、人生に其の人としての感情、見方をはっきり持っているのを見ると、心を惹かれ興味を覚えます。情感のゆたかな深い点に触れ得る人は好しいものです。
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蘭郁二郎 |
【足の裏】
一番始めに眼についたのは、矢張り一番近いところにある『足の裏』です。足の裏にもこんなに種類があるものか――、秀三郎はなんの気もなく足の裏を観察し始めて、思わず驚嘆の声を上げたのです。各人各様、とはよくいったもの、馴れるに従って足の裏をみた丈で、いま入浴しているのは誰々――とハッキリいいあてることが出来るほど、
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豊島与志雄 |
【文学の曇天】
晴天の日には南の窓を閉め、曇天の日を喜び、雨の日を歓迎して、そして仕事をするようなことは、文学を益々曇天ならしむるばかりである。――とこう云うのは、勿論比喩的な云い方であって、作者には各人各様の仕事癖があろうけれど、作者としての心境が右のようなものである限りは、文学は決して日向に出るものではない。
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相馬愛蔵、相馬黒光 |
【一商人として ――所信と体験――】
私は自分が独自の道を歩いて来たのだから、誰にも真似をせよとは言わない。各人各様の道があり、私の店にいる諸君が、他日中村屋を出て、自ら新機軸を立て、大いに個性を発揮して新商道を起してくれることをこそ望むのであるが、それにつけてはまず自分の経験したところを話し、中村屋の商売の仕振りをよく理解してもらうとともに、将来の参考ともならばと思うのである。
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小栗虫太郎 |
【人外魔境 地軸二万哩】
「やはり、石油ガス」とまっ暗ななかで鼻をうごめかし、セルカークが聴えぬような声で呟いた。おそらく、どこかに噴出孔があるのだろう。そして、岩石が落下するときの摩擦の火花で点火するのが、例の怪光だろうと思われた。 三人は、各人各様の気持――。折竹は、故国のために油層下の道をきわめようという。セルカークは、 |
林不忘 |
【魔像 新版大岡政談】
その後から、第一番に松平 |
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