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奸佞邪智
かんねいじゃち
 ⇒ 奸佞邪智 ⇒ 佞奸邪智
作家
作品

芥川龍之介

【将軍】

 旅団副官は旅団長へ、間牒の証拠品を渡しながら、愛嬌あいきょうい笑顔を見せた。――あたかも靴に目をつけたのは、将軍よりも彼自身が、先だった事も忘れたように。
「だが裸にしてもないとすれば、靴よりほかに隠せないじゃないか?」
 将軍はまだ上機嫌だった。
「わしはすぐに靴とにらんだ。」
「どうもこの辺の住民はいけません。我々がここへ来た時も、日の丸の旗を出したのですが、その癖家の中をしらべて見れば、大抵露西亜ロシアの旗を持っているのです。」
 旅団長も何か浮き浮きしていた。
「つまり 奸佞邪智かんねいじゃちなのじゃね。」
「そうです。煮ても焼いても食えないのです。」

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太宰治

【走れメロス】

 私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。王の奸佞かんねい邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、ふるさと。若いメロスは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。

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押川春浪

【月世界競争探検】

「東助、こうなっては腕づくでも叔父さんを取り返さなければならない。叔父さんを無事に連れ帰るのは誰でもいいが、このままにしておいては奸佞かんねい邪智の秋山男爵だ、この上如何なる悪計を持って我らを苦しめ、かつ鳩のような月子さんを もてあそぶか知れない。さあ今から出かけるからお前も蹤いて来い。」

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谷崎潤一郎

【少将滋幹の母】

今昔物語には、此の大臣もまた「形美麗に有様いみじきこと限りなし」「大臣のおん形ごゑ気はひたきものよりはじめて世に似ずいみじきを云々」と記しているので、われ/\は富貴と権勢と美貌と若さとに恵まれた驕慢きょうまんな貴公子を、直ちに眼前に描くことが出来る。従来藤原時平と云うと、あの車曳くるまびきの舞台に出る公卿悪くげあくの標本のような青隈あおくまの顔を想い浮かべがちで、何となく 奸佞邪智かんねいじゃちな人物のように考えられて来たけれども、それは世人が道真に同情するあまりそうなったので、多分実際はそれほどの悪党ではなかったであろう。

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28