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冠婚葬祭
かんこんそうさい |
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作家
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作品
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織田作之助 |
【鬼】
例えば冠婚葬祭の義理は平気で欠かしてしまう。身内の者が危篤だという電報が来ても、仕事が終らぬうちは、腰を上げようとしない。極端だと人は思うかも知れないが、細君が死んだその葬式の日、近所への挨拶廻りは、親戚の者にたのんで、原稿を書いていたという。随分細君には惚れていたのだが、その納骨を二年も放って置いて、いまだにそれを済ませないというズボラさである。
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永井荷風 |
【西瓜】
わたくしの身にとって妻帯の生活の適しない理由は、二、三に |
正岡容 |
【寄席行燈】
アジャラ声を張り上げ、そのあと何が何だか |
坂口安吾 |
【石の思ひ】
私は「家」といふものが子供の時から怖しかつた。それは雪国の旧家といふものが特別陰鬱な建築で、どの部屋も薄暗く、部屋と部屋の区劃が不明確で、迷園の如く陰気でだだつ広く、冷めたさと空虚と未来への絶望と呪咀の如きものが漂つてゐるやうに感じられる。住む人間は代々の家の虫で、その家で冠婚葬祭を完了し、死んでなほ霊気と化してその家に在るかのやうに形式づけられて、その家づきの虫の形に次第に育つて行くのであつた。
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榊亮三郎 |
【金剛智三藏と將軍米准那】
婆羅門族または刹帝利族に對し、其の清貴の性質を失はざらしめんため、冠婚葬祭の四大禮は申すに及ばず、職業、交遊、服裝、住居、飮食等に至るまで、種々の制限を加へて居ります。殊に海外に出づることは禁じて、一旦海外に出たものは、歸國するも其の清貴の性質を失うてアーリヤ即ち正信の印度人たる權利はないものとせられた。
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井上円了 |
【南半球五万哩】
十二日、曇りのち雷雨。午前六時半、カントンへ着岸す。両岸、小艇の群れをなして櫛比せるを見る。これ、その名の高きカントン水上生活の実況なり。人口百五十万中、八十万は水上生活と称するも、その実三十万人くらいならんとの説なり。この水上に住する人民は一種の賤民にして、陸上に住するものと交際せず、冠婚葬祭も陸上とは全くその縁を絶ち、水居仲間にてこれを行う。教育も水陸別途なり。ゆえに、水上に別に寺院船ありて、その中にて葬儀を行い、また別に学校船ありて、その中にて教育を授くという。
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折口信夫 |
【琉球の宗教】
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福沢諭吉 |
【学問のすすめ】
演説とは英語にてスピイチと言い、大勢の人を会して説を述べ、席上にてわが思うところを人に伝うるの法なり。わが国には |
相馬愛蔵 |
【相馬黒光 一商人として ――所信と体験――】
明の時代のこと、蒙古から支那に伝来した |
戸坂潤 |
【思想と風俗】
礼服と裸体に就いて――「裸体文化」(ナックテ・クルトゥア)には原始還元主義が勝っているように思う。現代文明の弊は、裸の代りに着物を着ているということにはなくて、その着物が身体にとって不衛生な性質を有っているということだ。身体にとって不合理な衣服が身体の正常な発育を妨げている。大体同じであるだろう身体に、いくつもの階級的に異った着物を着けなければならぬというのが、現代文明の衣裳のよくない処だ。衣裳が悪いのではなくて区別を強制された衣裳が悪いのである。――而も同じ同一人が、時々異った衣裳をつけることを強制されることもあるのだ。礼服はその著しい場合だろう。冠婚葬祭から始めて、会談食事に至るまで礼装が要る。之がイギリス・ゼントルマン風の偽善というものだ。勿論儀式は人間を音無しくする。それは社会秩序の安寧に対する感謝の黙祷なのだが、処が現代はこの儀式が段々取り行ない難くなる。ドイツの小市民インテリゲンチャの決闘には依然として儀式があるが。――礼服が段々役に立たなくなる。又事実吾々は礼服を造っておくことは経済的に仲々出来にくいのである。――かくて問題は衣服の階級性に帰着するのである。 |
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