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活殺自在
かっさつじざい |
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作家
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作品
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二葉亭四迷 |
【旅日記 東海道線】
今の世でも理想家はある、しかし多くの理想家の理想は死理想で役に立たない、実際家は固より多い、しかし実際家は理想を欠くが故に其為る所は動もすれば委下瑣末に流れて生存に役せられてゐる、かまけてゐる。理想に囚はれず実際に役せられず、超然として心を物外に居きながら敢然として身を物内に投じて活殺自在の働きを為し得る真人間は存外少ない、否殆どないが、僕の見た男は則ち其人たるに庶幾い、男は敢て他人を模倣しない、又他人の模倣を許さぬ、後藤新平は頂天立地一個の後藤新平である。
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高村光太郎 |
【九代目団十郎の首】
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辻潤 |
【変なあたま】
全体、なんだって自分のようなくだらんものをこしらえてナンセンスなことばかりさせているのだろう――しかし、それがイヤなら早くくたばってしまえ! といわれればグウの音も出さずに引きさがるより仕方がないのだ。なにしろサキは正体もなにもわからんバケ物のような「生命」の親玉で、活殺自在でまるで歯も立たなければ、いくらもがいてみたところでなんのてごたえもなく、唯、もうわれわれはその飜弄されるままに動いてるより他に道はないのだ。仕方がないから降参するのでそれを称して自分の運命を忍受するといっているのであるが、なにか別に名案があれば教えてもらいたいものである。
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南部修太郎 |
【文芸作品の映画化】
あの映畫は内容はごく通俗的な軍事劇だ。どこにも打たれるとか動かされると云ふやうな點はない。然し、私がこれまでに見たものの中で、あれほど映畫的な映畫として巧に作られたものはない。筋も筋だが、その段取り、そのやま、その明暗、その背景の取り方、その光線の扱ひ方、人物の出し入れ、クロオズアツプやフラツシユバツクの用ゐ方、全く映畫的なもののすべてが活殺自在に少しの無駄もなくそこに操られてゐる。で、次から次へと加速度的に面白さや好奇的な感じが集積して、胸躍ると云つた工合に惹きつけられて行く。結局終つてしまへば「なんだい………」と思ふ程度のものだが、そして、後半はずつと前半に劣るが、とにかく見てゐてあんなに面白い映畫はまあ珍しい。
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長谷川時雨 |
【田沢稲船】
十九になった錦子は、小暗い木蔭の道路での、美妙斎の側にいても、身が縮まるような悦びは、それはもう、とうに過ぎさった日となった。今は、美妙が接する女は、自分ばかりでないのを知って悲しかった。 |
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