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元気溌剌
げんきはつらつ
作家
作品

高村光太郎

【智恵子抄】

東京の空気は彼女には常に無味乾燥でざらざらしてゐた。女子大で成瀬校長に奨励され、自転車に乗つたり、テニスに熱中したりしてすこぶ元気溌剌たる娘時代を過したやうであるが、卒業後は概してあまり頑健といふ方ではなく、様子もほつそりしてゐて、一年の半分近くは田舎や、山へ行つてゐたらしかつた。

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織田作之助

【土曜夫人】

「ちゃっかりしてるね。払うよ。セントルイスへ行きゃア、はいるんだ。今日中に払うよ。銀ちゃん、そんなんかね。おれ見直すよ。感じ悪いや。払やいいんだろう」
 プイと怒って、出てしまった。銀ちゃんは憂欝な顔で卓子へ戻って来た。
「銀ちゃん、どうした。女に振られたんじゃないですか。元気溌剌じゃないですな」
 坂野はうかぬ顔でパイを撫ぜていた。
「そういうおたくも、からきし元気溌剌じゃないね」
「あッしですか。」

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甲賀三郎

【血液型殺人事件】

 一体毛沼博士は、外科の教授に在勝ありがち豪放磊落ごうほうらいらくな所があって、酒豪ではあるし、講義もキビキビしていて、五十二歳とは思えない元気溌剌 げんきはつらつたる人で、小事には拘泥しないという性質たちだった。所が、この二三月はそんなに目立つ程ではないが、何となく意気消沈したような所があり、鳥渡した物音にもギクッとしたり、講義中に詰らない間違いをしたり、いつも進んでする手術を、わざと若い助教授に譲ったり、些細な事ながら、少し平素と変った所があったのだ。

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相馬愛蔵
相馬黒光

【一商人として ——所信と体験——】

 昔は節季の餅はきのわるいものとして、おとくいも餅屋も通用して来たものですが、私たちが初めてちん餅をやった時の糯米もちごめは、普通の搗き方ではとうてい上糯米の本質を発揮することが出来なかったのです。初め私たちは餅菓子屋の習慣にならって臨時に搗屋を雇ったものです。東京近郊から冬の閑散期一週間を市内の菓子屋に雇われて来る百姓の一団があり、それがみな元気溌剌としてほとんど疲労を知らぬ若者揃いでした。彼らは白いお米で 生魚なまざかなが毎日食べられ、その上一日二円ぐらいの日当がもらえるのだから、いつも来年を約して村に戻って行ったものです。いまの仙川牧場はその頃から御縁がついていたのでした。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28