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下司下郎
げすげろう
作家
作品

夏目漱石

【草枕】

 芝居気があると人の行為を笑う事がある。うつくしき趣味をつらぬかんがために、不必要なる犠牲をあえてするの人情に遠きをわらうのである。自然にうつくしき性格を発揮するの機会を待たずして、無理矢理に自己の趣味観をてらうのを笑うのである。真に個中こちゅうの消息を解し得たるものの嗤うはその意を得ている。趣味の何物たるをも心得ぬ下司下郎げすげろうの、わがいやしき心根に比較していやしむに至っては許しがたい。

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菊池寛

【藤十郎の恋】

弥五七 さすがは藤十郎様じゃ。なるほどなあ。心得がのうては狂言ができぬとなれば、役者は上は摂政関白から下は下司下郎のはしまで、一度はなって見なければ役者にはなれぬはずじゃ。なるほどなあ。

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嘉村礒多

【途上】

 貧弱な徳利一本、猪口ちよく一箇を置いた塗りの剥げた茶餉台ちやぶだいの前に、ふんどし一つの真つ裸のまゝ仰向けに寝ころび、骨と皮にせ細つた毛臑けずねの上に片つ方の毛臑を載せて、伸びた口髭くちひげをグイ/\引つ張り/\詩を考へてゐた狂詩人は、私が問ふと矢にはに跳ね起きあごを前方に突き出し唇をとがらせて、「凡人の子袋から産れたといふことさ。馬の骨とも、牛の骨とも分らん。おいら下司下郎だといふことさ!」

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夢野久作

【梅津只圓翁伝】

「慰みに遣るのなら、ほかの芸を神様に献上しなさい。神様に上ぐる芸は能よりほかにない道理がわからんか。下司下郎のお能は下司下郎だけで芝居小舎ででも んなさい。神様の前に持って来る事はならぬ」と頑張って何と云っても聞かない。仲に立った人や宮世話人を手古摺てこずらせた事が毎度であった。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28