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軽佻浮薄
けいちょうふはく
作家
作品

芥川龍之介

【樗牛の事】

ふと樗牛のことを思い出して、また竜華寺へ出かけて行った。その日は夏の晴天で、脂臭やにくさ蘇鉄そてつのにおいが寺の庭に充満しているころだったが、例の急な石段を登って、山の上へ出てみると、ほとんど意外だったくらい、あの大理石の墓がくだらなく見えた。どうも貧弱で、いやに小さくまとまっていて、その上またはなはだ 軽佻浮薄けいちょうふはくな趣がある。これじゃ頼もしくないと思って、雑木ぞうきの涼しい影が落ちている下へ、くたびれたしりをすえたまま、ややしばらく見ていたが、やはりくだらないという心もちは取消しようがない。

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芥川龍之介

【大導寺信輔の半生 ―或精神的風景画―】

彼はその自彊術の道具を当然「自ら欺かざるの記」に求めた。――
「予の蒙れる悪名は多けれども、分つて三と為すことを得べし。
「その一は文弱也。文弱とは肉体の力よりも精神の力を重んずるを言う。
「その二は軽佻浮薄也。軽佻浮薄とは功利の外に美なるものを愛するを言う。
「その三は傲慢也。傲慢とはみだり に他の前に自己の所信を屈せざるを言う。

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織田作之助

【猿飛佐助】

汝は能く隠すも能く忍ばざる者じゃ。徒らに五遁の術の安易さに頼って、勝ち急ぐ余りの、不意討ちの卑怯の術にうつつを抜かし、試合に望んでは一太刀の太刀合わせもなさず、あまっさえ、天下一の強者を自負するばかりか、わが教えし飛行の術をも鼻歌まじりに使うとは、何たる軽佻浮薄、増長傲慢、余りの見苦しさに、汝の術を封じてやったが、向後一年間、この封を解いてはやらぬぞ。これ汝への懲罰じゃ――。

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上村松園

【古い記憶を辿って 山元春挙追悼】

私の座席の向こう側に春挙さんが偶然にも乗り合わせていられました。その時ちょうど私の方の側が陽が照って来ましたので、「こちらへおかけやす」と、その時、春挙さんの隣に空席が出来たので、おとなりにかけました。ちょうどラジオで放送された直後の事でしたので、その話をしていられました。伝統的な手法を忘れて、一体に画壇が軽佻浮薄に流れていけないというようなお話を、しきりにせられていました。

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岸田國士

【素面の管】

 それや、文学者の中には、物事を真面目に考え、真面目に云い、大いに軽佻浮薄な世人どもを反省させる人もあっていゝ。と云ってまた、文学者の中には、真面目な事でも 巫山戯ふざけ て云い、重大なことでも茶化してしまう男があっていゝ。

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若杉鳥子

【職業の苦痛】

 然うなって来ると、丁度空腹の人が食を得て眠くなるように、却って身の為になりません。その後うとう惰弱に流れ、虚栄は募る、物質欲が増長して、安逸許りを求めて、自己の修養などは、とんと忘れて了いました。
 洗濯物すら素人の手では気持ち悪く、貴婦人達にはお友達が出来る。高価、月給の一割もするクリームが塗りたく、男のお友達も出来たりして、一時私は全く虚栄を夢見て、軽佻浮薄な日を送りましたね。
 けれどもその後幾変遷、私という女は又当時の人と変わりました。

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木村荘八

【ハイカラ考】

「ハイカラ」ははじめ多分に揶揄難評の言葉ではあっても、賞讃の意味は少しも含まない、生意気な、軽佻浮薄なものの代名詞として、明らかに悪意のあるワルクチに出発したものである。これがいつか一転して「洒落もの」の意味となり、これに対して追従憧憬の気分も徐々に加味されると共に、三転して、あまねく「新しいもの」を目指して云う言葉となり、その風俗となりながら「……社会上下を通じて、一般の流行語となれり。

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戸坂潤

【ひと吾を公式主義者と呼ぶ】

 かつては公式主義という鞭の言葉には慥かに或る真実があった。だが今日ではそんなものは事実あまり存在していないのだから、丁度科学偏重とか軽佻浮薄な思想とかいうような今日の支配者の用語が無内容で滑稽なように、今日では無内容で滑稽なものになっているのだが、それにさえ気づかずに公式主義公式主義とわめき散らしているのは、性格薄弱の症状と見られても仕方があるまい。

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井上準之助

【最近欧米に於ける財政経済事情】

此失業者の多くなった事の為に社会が不安の状態に陥らんとするので、政府が之を支えて居る様な有様であります。従って巨額の金を、其科目に対して支出して居るのであります。英吉利も亦同様に苦しんで居ります。斯かる激しき変動を社会に来して居るので、日本にあるが如き軽佻浮薄なる状况も相当にあります。例えて見ると、英国、米国、独逸、仏蘭西辺りでは例のダンスが流行して居りまして、是は殆んど今日世界共通的に流行って居ります。

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内村鑑三

【デンマルク国の話 信仰と樹木とをもって国を救いし話】

国にもしかかる「愚かなる智者」のみありて、ダルガスのごとき「さとき愚人」がおりませんならば、不幸一歩を誤りて戦敗の非運に遭いまするならば、その国はそのときたちまちにして亡びてしまうのであります。国家の大危険にして信仰を嘲りこれを無用視するがごときことはありません。私が今日ここにお話しいたしましたデンマークとダルガスとにかんする事柄は大いに 軽佻浮薄けいちょうふはくの経世家をいましむべきであります。

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加藤道夫

【なよたけ】

あれも長いこと都の中で育ったせいか、どうもあの軟弱な都の悪風に染まってしまって、豪放ごうほうなところが欠けていて困る。あれだけは厳しくしつけて直さなければどうにもならんな。……都の奴等やつらと来たら、全く 軽佻浮薄けいちょうふはくだ。あのような惰弱だじゃくな逸楽に時を忘れて、外ならぬうぬが所業で、このやまとの国の尊厳をきずつそこねていることに気がつかぬのじゃ。

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佐藤紅緑

【ああ玉杯に花うけて】

いまのやつらはへそを軽蔑けいべつするからみな 軽佻浮薄けいちょうふはくなのだ、へそは力の中心点だ、人間はすべての力をへそに集注すれば、どっしりとおちついて威武もくっするあたわず富貴もいんするあたわず、沈毅ちんき、剛勇、冷静、明智になるのだ、孟子もうし所謂いわゆる浩然こうぜんの気はへそを讃美した言葉だ、へそだ、へそだ、へそだ、おまえは試験場で頭がぐらぐらしたらふところから手を入れてしずかにへそをなでろ

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Last updated : 2024/06/28