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権謀術策
けんぼうじゅっさく
人をたくみに欺くはかりごと、策略。数々の計略をめぐらすこと。
⇒ 権謀術数 ⇒ 権謀術策 ⇒ 術数権謀
作家
作品

織田作之助

【勧善懲悪】

 昔、政党がさかんだった頃、自身は閣僚になる意志はてんで無く、ただ、誰かこいつと見込んだ男を大臣にするために、しきりに権謀術策をもちい、暗中飛躍をした男がいたが、良い例ではないけれども、まず、おれの気持もそんなとこだったろうか。
 もっとも、チラシや包装がそれだとは言わぬ。敢えてその権謀術策を挙げよというなら、間もなくおれが智慧をしぼって考えだした支店長募集など、そのひとつだろう。例によって「真相をあばく」を引用しよう。

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戸坂潤

【読書法】

 私はすでに『東京朝日新聞』でこの書物を紹介した(次項)。だから紹介としてはさし当り夫を繰り返す外はない。――マキャヴェリはその『君主論』に於て、〔君主〕に必要な譎詐・欺瞞・狡知・を分析し、権謀術策の原理を授けているが、その結果は計らずも〔君主〕の陰険な心事を暴露すると共に、一般に人間性の虚偽性を暴露している。之は人間論的虚偽論に外ならない。

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夢野久作

【鼻の表現】

 天下を窺う奸物の部下に就くものは、恩賞に眼がくれた欲張りか情誼じょうぎにほだされた愚物か、又は奸物を承知でくっ付いた奸物かに限られているようであります。聡明敏慧びんけい抜群の士でも、権謀術策を以て人を率いようとする限り、その部下に心服されないという実例は、昔から数多く伝えられているようであります。

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小栗虫太郎

【黒死館殺人事件】

 勿論その一言は、今後の護衛方法に決定的な指針を与えるものに相違なかった。けれども、こうして法水の知脳が、次回の犯罪において全く犯人の機先を制したかのように見え、ことに火精ザラマンダーの一句が、結局犯人の破滅を引き出すかの観を呈したのだったけれども、従来これまで彼対犯人の間に繰り返されていった権謀術策の跡を かえりみると、法水の推断を底とするのが、まだまだ早計のようにも思われるではないか。しかし、五芒星呪文に対する彼の追及は、けっしてそれのみには尽きなかったのである。

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吉川英治

【三国志 望蜀の巻】

「長夜の宴」とか「酒国長春」とかいうことばは、みな支那のものである。この民族の歴史ほど宴楽に始まって宴楽に終る歴史を編んできた民族は少ない。平時はもちろん戦争の中でも実に宴会する。別離歓迎、式典葬祭、権謀術策けんぼうじゅっさく、生活兵法、ことごとく宴会のたくとによって行われる。

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Last updated : 2024/06/28