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近所合壁
きんじょがっぺき
作家
作品

正岡子規

【墨汁一滴】

 余の郷里にては時候が暖かになると「おなぐさみ」といふ事をする。これは郊外に出て遊ぶ事で一家一族近所 合壁かっぺきなどの心安き者が互にさそひ合せて少きは三、四人多きは二、三十人もつれ立ちて行くのである。それには先づ各自各家に弁当かまたはその他の食物を用意し、午刻ごこく頃より定めの場所に行きて陣取る。その場所は多く川辺の芝生にする。川が近くなければ水を得る事が出来ぬからである。

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夏目漱石

【吾輩は猫である】

 細君はあまり突然な問なので、何にも云わない。実を云うと吾輩もこれは洗湯の逆上がまださめないためだろうと思ったくらいだ。元来この主人は 近所合壁きんじょがっぺき有名な変人で現にある人はたしかに神経病だとまで断言したくらいである。ところが主人の自信はえらいもので、おれが神経病じゃない、世の中の奴が神経病だと頑張がんばっている。

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坂口安吾

【老嫗面】

そのくせ「そんなら勝手にするよ」と早速きめてしまつたのは、子供同志の諍ひで相手の揚足をとるでんであるが、五尺の男児みすぼらしい様子であつた。まさかに之が実現しようと思はなかつた松江は、異様な行列が門前にとまり、近所合壁の連中が裏木戸へ走りだして首をつきのばした瞬間も、自分も同じ高見の見物であるかのやうな好奇心を忘れなかつた。

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有島武郎

【卑怯者】

 彼は心まで堅くなってじっとして立っていた。がもう黙ってはいられないような気分になってしまっていた。肩から手にかけて知らず知らず力がこもって、つばをのみこむとぐっと喉が鳴った。その時には近所合壁から 大人おとなまでが飛び出して来て、あきれた顔をして配達車とそのあわれな子供とを見比べていたけれども、誰一人として事件の善後を考えてやろうとするものはないらしく、かかわり合いになるのをめんどうくさがっているように見えた。

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寺田寅彦

【新年雑俎】

 数年前までは正月元旦か二日に、近い親類だけは年賀に廻ることにしていた。そうして出たついでに近所 合壁かっぺきの家だけは玄関まで侵入して名刺受けにこっそり名刺を入れておいてから一遍奥の方を向いて御辞儀をすることにしていたのであるが、いつか元旦か二日かが大変に寒くて、おしまいには雪になったことがあって、その時に風邪を引いて持病の胃に障害を起したような機会から、とうとう思い切って年賀廻りを廃してしまった。すると、その翌年は正月がたいそう暖かくて廻礼廃止理由の成立が少々怪しくなったようであった。

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羽志主水

【越後獅子】

 右側の長屋の三軒目、出窓の格子から、ドス黒い烟が猛烈に吹き出してる。家の内から、何かうなような声がした。
 火事だアッと怒鳴るか、怒鳴らぬに、蜂の巣を突ついた様な騒ぎで、近所合壁は一瞬時に、修羅の ちまたと化してしまった。

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北村透谷

【鬼心非鬼心 (実聞)】

 妻の何某なにがしはいつの頃よりか、何となく気欝の様子見え始めたれど、家内かないのものは更なり、近所合壁のやからも したる事とは心付かず、唯だ年けたる娘のみはさすが、母の気むづかしげなるを面白からず思ひしとぞ。世のありさま、三四年このかた金融の逼迫ひつぱくより、種々さま/″\の転変を見しが、別して其日かせぎの商人あきびとの上には軽からぬ不幸を生ぜしも多かり。

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清水紫琴

【磯馴松】

 何だよお前今頃に帰つて来て、何を面白さうに独りで饒舌しやべつてるんだ。もうくに最終しまい汽車は通つてしまつたよ。早く這入つておしまひな。馬鹿馬鹿しい、近所合壁へも聞こえるや。

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原民喜

【苦しく美しき夏】

 今、あたりは奇妙に物静かだった。いつも近所合壁の寄合う場所になっている表の方の露次もひっそりとして 人気ひとけがなかった。それだけでも妻はたしかに一ときの安堵に恵まれているようだった。そして、彼もまたあの恢復期の人のように幻の椅子にりかかっていた。

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林不忘

【丹下左膳 日光の巻】

「マア、待て!」
 と泰軒先生は、大きな手をひろげて、二人をへだてながら、
「これは爺さんに、すこし遠慮してもらわなくッちゃならねえようだ。人間は 近所合壁きんじょがっぺき、いっしょに住む。なア、いかに好きな道でも、度をはずしては……」
「泰軒先生ッ! 屑竹くずたけの婆あが、お願いがあって参じました」
 お兼婆さんの大声が、土間口から――

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Last updated : 2024/06/28