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窘窮煩悶
きんきゅうはんもん
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作家
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作品
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【二葉亭四迷の一生】 何とかして他に生活の道を求めて学問才芸を潰しに投売しても一家の経済を背負って立とうと覚悟した。が、この覚悟はありながら、一面には極めて狷介で人に下るを好まないと同時に、一面には人に対して頗る臆病であって、伝を求めて権門貴戚に伺候するは魯か、先輩朋友の間をすらも奔走して頼んで廻るような小利口な真似は生得出来得なかった。どうにかしなければならないと思いつつもどうにもする事が出来ないで独りで
窘窮
煩悶していた。この苦境を見るに見兼ねて、もし仕官する希望でもあるならと
片肌抜いでくれたのが語学校の旧師の古川常一郎であった。二葉亭はこの間の消息を日記に洩らして、官吏は元来心に染まぬが今の場合聊かなりとも俸銭を得て一家を支える事が出来るなら幸いであると古川に頼んで、さてそのあとで、「何となくうら恥かしきやうに心落ちゐず。白石先生の事など憶出せば背に冷汗を流す」と書いておる。二葉亭の自卑自屈を余儀なくされる窘窮煩悶の状がこの二、三行の文字に見えるようである。
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Last updated : 2024/06/28