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貴賤貧富
きせんひんぷ |
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作家
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作品
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森鴎外 |
【大塩平八郎】
平八郎は天保七年に米価の騰貴した最中に陰謀を企てて、八年二月に事を挙げた。貧民の身方になつて、官吏と富豪とに反抗したのである。さうして見れば、此事件は社会問題と関係してゐる。勿論社会問題と云ふ名は、西洋の十八世紀末に、工業に機関を使用するやうになり、大工場が起つてから、企業者と労働者との間に生じたものではあるが、其萌芽はどこの国にも昔からある。貧富の差から生ずる衝突は皆それである。若し平八郎が、人に貴賤貧富の別のあるのは自然の結果だから、成行の |
太宰治 |
【乞食学生】
「はだしで来たわけじゃ、ないだろうね。」私は「ああ、陸の上は不便だ。」少年はアンダアシャツを頭からかぶって着おわり、「バイロンは、水泳している間だけは、自分の 「君はバイロンかい。」私は努めて |
福沢諭吉 |
【新女大学】
一 前条は学問と言う可き程のことにあらず、貴賤貧富に論なく女子教育の通則として、扨学問の教育に至りては女子も男子も相違あることなし。第一物理学を土台にして夫れより諸科専門の研究に及ぶ可し。之を
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三木清 |
【親鸞】
もし僧侶が無戒であるならば、彼らはいわゆる「名字の比丘」であり、本質的には在俗者と同じでなければならぬ。かくして浄土門の教は僧俗一致の教法である。この教法の前においては僧侶と在俗者とは本来平等である。単に僧俗の差別のみではない、老少の差別、男女の差別はもとより、賢者と愚者との差別も、善人と悪人との差別も、すべて意義を有しなくなる。宗教の前においてはあらゆる者が平等である。あたかも死に対しては貴賤貧富を論ぜず、すべての人間が平等であるように。この平等はもとより宗教的な平等であって、外面的な社会的平等ではない。宗教の前においては社会的差別はもとより道徳的差別も意義を失うところに宗教の絶対性がある。
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坂口安吾 |
【戦後新人論】
荒巻の場合はこれに反して、すでに世評のある人間であり、彼が勉強して、ほかの学業を学んでみても、彼の野球に於けるが如く、他の分野に於てもぬきんでるとは思われない。内村先生の如く一芸に秀でた専門家には、専門ということの尊さが分り、専門家に貴賤貧富のない理がわかるのだ。精神病医として大成するのも、野球人として大成するのも、その修業の激しさに変りはなく、学びの道に変りはない。
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種田山頭火 |
【物を大切にする心】
大乗的見地からいえば、一切は不増不減であり、不生不滅である。浪費も節約もなく、有用も無駄もない。だが、人間として浪費は許されない。人間社会に於ては無駄を無くしなければならない。物の価値を尊び人の勤労を敬まわなければならないのである。常時非常時に拘らず、貴賤貧富を問わず、私たちの生活態度は斯くあるべきであり斯くあらざるを得ない。 物そのもののねうち、それを味うことが生きることである。物そのものがその徳性を発揮するところ、そこが仏性現前の境地である。物の徳性を高揚せしめること、そのことが人間のつとめである。 私は臆面もなくH老人を責めS夫人を責めて饒舌であり過ぎた。それはすべて私自身に向って説いて聞かせる言葉に外ならない。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 白骨の巻】
「左様でゲスとも、薬と差配のハゲと一緒にされちゃ堪らねえ」道庵先生は、それを耳にも入れず、 「だから、医者というやつも、貴賤貧富によって、 といって、ソレから自慢をハジめたり、ひとをコキおろしたり、大気焔を上げましたが、結局今日の集会の要領は、今まで自分は十八文を |
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