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虚心坦懐
きょしんたんかい |
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作家
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作品
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島崎藤村 |
【夜明け前 第一部上】
そこから寛斎のように中津川の商人について、横浜出稼ぎということも起こって来た。本居 |
織田作之助 |
【それでも私は行く】
幹男ははじめの間はそんなお雪を見ても何とも思わなかった。が、ことしの正月、十七歳になると、もうお雪を見て、虚心坦懐でおれなかった。 幹男は時どき鏡の前でニキビをつぶしながら、お雪の肢態を瞼にえがくようになった。 |
坂口安吾 |
【街はふるさと】
長平はルミ子の部屋へ泊りこむことになって、よいことをしたと思った。こんなに虚心坦懐に、女にもてなされたり、女を愛したりして、深間の感情というものをまじえずに、淡々とくらせるのが、ありがたい。ルミ子は魔性というものが少しもなくて、そのくせ、生れつきの娼婦というのかも知れなかった。
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相馬愛蔵 |
【私の小売商道】
店の不統制、乱脈の責任は実に主人にあるのでありますから、主人なる者は常に虚心坦懐、人にはあくまで公平にして私なく、かつ懇切なるを絶対条件と致します。
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太宰治 |
【新ハムレット】
君の将来の重大な責務を考えて下さい。きょうはここで、二人きりで、ゆっくり話してみましょう。わしは前から、二人きりになれる機会を待っていたのです。わしも、思っているところを虚心
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岸田國士 |
【戦争と文化 ――力としての文化 第三話】
言葉といふものは不思議なもので、ある思想もそれを表現する言葉の自由な解釈によつて、様々な陰翳、時とすると、思ひがけない意味まで伝へる場合があります。それ故、徒らに言葉尻を捉へて、あざとい批評を加ふべきではなく、論者の真に言はんとするところを、虚心坦懐に聴くべきでありますが、また同時に、その人の使ふ言葉は、どういふ意味に使はれてゐるにせよ、そのことが即ち、その人の思想を端的に示してゐることも亦、争はれないところであります。
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宮本百合子 |
【「迷いの末は」 ――横光氏の「厨房日記」について――】
「厨房日記」は嘗て高邁を称えた作家にふさわしい何物かを芸術としてのこしているのであろうか。「虚心坦懐とは日本でこそ最も高貴な精神とされているが」「今のところ、如何なる国際列車もまだ乗換場所がいくつも必要だから」「パリ人というものは自身や他人の金利のことについて口を出さぬ。
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種田山頭火 |
【其中日記 (九)】
朝、眼が覚めるといつも私は思ふ、――まだ生きてゐた、――今朝もさう思つたことである。山の鴉がやつて来て啼く、私は泣けない。 身心重苦しく、沈欝、堪へがたし。 虚心坦懐であれ、洒々落々たれ、淡々たれ、悠々たれ。 午後はあんまり気がふさぐので近郊を散歩した、米と油とを買うて戻る。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 白雲の巻】
その有様は虚心坦懐で、眼中にただ、梅の木の木ぶり枝ぶりあるのみ。ちょっと当惑するのは日ざしの具合で、まぶしい感じがする時、左右に紙と筆とを持っているものだから、小手のかざしようがないだけのものです。
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伊丹万作 |
【思い ――情報局の映画新体制案について――】
彼らの背には、多くの重役、株主、会社員がおり、しかも、彼らの代表する会社はもともと利益を唯一の目的として成立したものであつてみれば、彼らが利益を度外視して、真に虚心坦懐に事をはかるというようなことは、実際問題として期待し得べきことかどうか、はなはだ疑なきを得ない。
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飯田蛇笏 |
【薄暮の貌】
「情死でもあつたのかな、こいつは」と、心でそんな想像をしてみたりしながら、予定されてあつた座に着いたのである。二間をぶつ通した天井は煤けた上に実際低過ぎた。かうした落着いた会席ではあるものの、世故を離れた虚心坦懐な気持で、冗談の一つや二つ飛ぶのは当りまへである。
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土井晩翠 |
【漱石さんのロンドンにおけるエピソード 夏目夫人にまゐらす】
夏目夫人、――「改造」の正月号を読んで私が此一文を書かずには居れぬ理由は自然に明かになると思ひます、どうぞ終まで虚心坦懐に御読み下さい。
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折口信夫 |
【歌の円寂する時】
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吉行エイスケ |
【孟買挿話】
日本人は極端に臆病であるため虚心坦懐な西欧人の目から見ると、それが陰険にさえうつるので自分のように日本の伝統をもたない日本人の顔をもって生れたものは甚だ迷惑であることをくどくどと私が私のパートナアに話して、であるから自分のような日本人には貴女の美しさとか健康さを直感して貴女を讃美することは、他の国民にも増して劣るものではないことを切々と話す、
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