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挙措動作
きょそどうさ |
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作家
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作品
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豊島与志雄 |
【録音集】
雨戸を閉める音は、種々雑多であるが、その両極瑞に、ガタガタ……ピシャリ……というのと、スー……コトリ……というのとある。これを解説すれば、力一杯にガタガタと押しやって、ピシャリとぶっつけるのが前者で、力をぬいて静にスーっと押して、頃合をはかってコトリとやめるのが後者である。この二つの気合は、その人の時々の気分にもよるが、そういう例外を除いて、尋常な場合だけをとれば、異った二つの気質を、そしてなお二つの生活様式を暗示する。 雨戸を閉める音をきいていると、その人の日常の挙措動作や暮し方から、気立や性質までが想像される。 |
豊島与志雄 |
【風俗時評】
箱根、日光、富士山麓、軽井沢など、自然の美と交通の便宜とに恵まれた土地の、安易なホテルのホールなんかでは、よく、家族か親しい仲間かの数人の、午後のお茶の集りが見受けられる。その中で、欧米の白人の連中は、いろんな意味で人目を惹く。大抵、彼等の体躯は逞ましく、色艶もよい。眼は生々と輝き、挙措動作は軽快で、溌剌たる会話が際限もなく続く。心身ともに、精力の充溢があるようである。
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