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急転直下
きゅうてんちょっか |
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作家
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作品
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小川未明 |
【男の子を見るたびに「戦争」について考えます】
帝国主義の副産物として、戦争を避け得られないことは、説明すべく、あまりにはっきりとした事実であります。そして、いま、世界の事情を観考するのに、第二の世界戦争が太平洋を中心として、次第に色濃く、萌しつゝあるが如くです。それが、いよ/\現実の問題となって、四海が波立つことは、五年の後か、或は十年の後か知らない。しかし、若し、世界が現状のまゝの行程を辿るかぎり、いかに巧言令辞の軍縮会議が幾たび催されたればとて、急転直下の運命から免れべくもない。こう思って、何も知らずに、無心に遊びつゝある子供等の顔を見る時、覚えず |
斎藤茂吉 |
【蚤】
僕は柿本人麿の歿処を考証するために石見国を旅行したことがあったが、石見の僻村旅館でも蚤のいない旅館がいくらもあるという状態にあり、僕は一般衛生思想の発達に感謝した程であった。
しかるにどうであろうか。一たび戦争になるや、急転直下に蚤の発生が増大し、如何ともすべからざるまでに至った。特に疎開児童の居る旅館などといったら、殆ど言語に絶するほど蚤が沢山いた。
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大杉栄 |
【続獄中記】
差入室の一室でしばらくみんなで快談した。迎えられるものも迎えるものも大がいみな獄通だ。迎えられるものは盛んにその新知識をふりまく。迎えるものは急転直下した世間の出来事を語る。「おい、抱月が死んで、須磨子がそのあとを追って自殺したのを知っているかい?」 とたしか堺が二人に尋ねた。 |
坂口安吾 |
【明治開化 安吾捕物 その二 密室大犯罪】
「いえ、私は犯人ではございません」芳男は狂気のように叫んだが、新十郎はとりあわなかった。彼は刑事にひッたてられて、所轄の警察へ拉し去られた。 「やれやれ、事件は急転直下解決いたしましたなア」 と、虎之介がホッと息をつくと、新十郎はすまして、 「さア、どうですか。なかなか一筋縄ではいきません。奥には奥がありますよ」 |
折口信夫 |
【叙景詩の発生】
神風の 伊勢の海の
主題の「伐ちてしやまむ」に達する為に、修辞効果を予想して、 |
幸田露伴 |
【運命】
信曰く、殿下 |
岸田國士 |
【火の扉】
残されたわずかな持物は、もう二人の生活を長く支えるに足りないことはわかつている。急転直下という言葉がじつによくあてはまる今の境遇を、彼女は、自ら求めたものと観念していた。それだけに、たとえ裸で路傍に立つとしても、なにかさわやかなものが胸のなかをかすめていた。
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太宰治 |
【新ハムレット】
ポロ。「ホレ。「なにほどの事も、無かったようですねえ。」 ハム。「当り前さ。王妃は怒り、王は笑った。それだけの事がわかったとて、それが、何の ポロ。「なに、事件は、これから急転直下です。まあ、見ていて下さい。」 |
久生十蘭 |
【魔都】
天井を睨みながらスリ足をして進んでゆくうちに、突然、自分の足の下に手ごたえを感じなくなり、自分の身体が宙に浮いたかと思うと石のように急転直下して、イヤというほど固いものの上に叩きつけられた。
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佐々木味津三 |
【右門捕物帖 へび使い小町】
――河童権は口からいっぱい、どろどろの黒血を吐きながら、すでに変死を遂げていたからです。それもちゃぶ台の上には飲みさしの一升どくりと大茶わんが置かれたままでしたので、むろんのことに最期を遂げたのはほんの一瞬まえに相違なく、ほかに一品も食べ物のないところから推定すると、変死の正体、毒死の種は、明々白々それなるとくりの中に仕掛けられてあることが一目 |
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