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呉越同舟
ごえつどうしゅう |
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作家
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作品
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横光利一 |
【旅愁】
船がスエズからポートサイドまで出る一昼夜の間に、カイロ行の団体は陸路沙漠を横切りカイロへ出て、ピラミッドを見物してからポートサイドに廻っている船まで、汽車で追っつかねばならぬのである。随ってこの急がしい旅には二派の反目など誰も考えていられる閑はなかった。いよいよカイロ行の一団は、千鶴子の組も真紀子の組も呉越同舟で三台の自動車に分乗した。そのとき矢代は最後に遅れて自動車に乗ろうとするとどの自動車にも席がなかった。矢代はうろうろしながら席を覗いているうちに一台の自動車から急に久慈が飛び降り、「こちらへいらっしゃい。ここが空いていますから。」と矢代にすすめた。 |
岡本かの子 |
【生々流転】
船の中で待受けていた池上は、上機嫌で、「きょうは と言いまして、それから私が紹介する初対面の葛岡に向っては、 「よく来て下さいました。どうぞ、寛いで――」 と何気ない様子を見せています。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 年魚市の巻】
「どうも済みません……」「いや、済まないということではないですよ、つまりね、我々こうして、計らずも山中に棟を同じうして住んでいますとね、 |
海野十三 |
【暗号音盤事件】
リスボンは、ポルトガルの首都だ。そのころリスボンは、欧州に於ける |
浅沼稲次郎 |
【私の履歴書】
たしか昭和十年ごろと思うが、ある深川の製材工場が釘で厳重にロック・アウトをしたことがあった。われわれはこれをぶちこわして強引に工場へ入ったところ、会社側も負けじとお雇い人夫を動員、トビ口やコン棒を振上げ襲いかかってきた。あわや血の雨の降る大乱闘になろうという時、救いの神ともいうべき警官が現われ平野警察署長青木重臣君(のちの平沼内閣書記官長、愛媛県知事)の命令で、労使ともに検束されてしまった。留置場はまさに呉越同舟、敵も味方も一しょくたにされていたが、そのおかげで留置場内で話がまとまり、争議が解決したのだからケッ作だ。青木署長もなかなか思い切ったことをしたものである。演説をやれば「注意、中止、検束」、デモでは先頭にいて「検束」という具合で、この当時の社会運動家の中ではわたくしが検束の回数では筆頭だったようだ。 |
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