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極楽往生
ごくらくおうじょう |
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作家
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作品
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岡本かの子 |
【取返し物語】
蓮如『おお、念仏の代りになるとも、なるとも。おくみどの。仏は知見を以って何事も、広く
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犬田卯 |
【一老人】
老人が死んでいると聞いたのはそれから三日とは経たなかった。夜半まで、近所の人々は、老人の軍歌を歌っている声、行進するように踊っている足拍子を聞いたという。四郎右衛門とは昔から縁つづきの四郎兵衛という家の若者が、朝十時頃になっても老人の起き出す気配がないので行って見ると、寝床の中から裸の半身を乗り出して、まだ歌い踊っているような恰好の老人を見出した。検死の結果、心臓麻痺と診断された。娘から来た十何円の金は、そっくりそのまま枕頭の財布の中に入っていた。 「紙幣を握って死ぬなんて、極楽往生じゃねえか、なア」と村人はこの老爺の死をうらやんだ。 |
紫式部 |
【源氏物語 明石】
女の子の小さい時から私は特別なお願いを起こしまして、毎年の春秋に子供を住吉へ |
泉鏡花 |
【婦系図】
そうなれば、不幸極まる、あわれな、情ない老人が、かえって百万人の中に一人も得られない幸福なものとなって、明かに端麗な天人を見ることを得て、極楽往生を遂げるんです、――
と云った主税の声が、夫人の肩から総身へ浸渡るようであった。 「貞造は、貴女の |
宮本百合子 |
【貧しき人々の群】
「一夜のうちに、二人も人間がくたばるたあ、何事だべ」「解くに解かんねえ前世からの因縁事あ、恐ろしいもんだ」 「まったくおっかねえもんだ。が、俺(おい)らの力じゃどうにもしようがねえだ、南無阿彌陀仏……」 「せめても極楽往生させてえもんだなあ」 集っていた者の半分は、婆を連れて、陰気にのろのろと、離れて行った。 |
加能作次郎 |
【厄年】
年老の人達は大抵は蚊帳の中へ入つて二三十分宛も念仏交りに極楽往生の有難味を説いて聞かせた。誰も彼も嘗てお光が言つたやうに、生の苦、死の楽を説き、最後に死ぬのでなく生れ変るのだと言つた。時には三四人も一緒になつてお桐の側に法談会か何かのやうに長い間仏法の話をすることもあつた。
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小林多喜二 |
【不在地主】
ほとんど当惑していた処へ、今日のおいでは実に不思議と云っても可い。一言(父よ。)とおっしゃって、とそれまでも望むんじゃないのです。そうなれば、不幸極まる、あわれな、情ない老人が、かえって百万人の中に一人も得られない幸福なものとなって、明かに端麗な天人を見ることを得て、極楽往生を遂げるんです、―― と云った主税の声が、夫人の肩から総身へ浸渡るようであった。 |
中里介山 |
【法然行伝】
「ああそれでは甘糟が往生したな」といわれた。甘糟が国に残して置いた妻室が夢に忠綱が極楽往生をとげたという告げを聞いて驚いて国から飛脚をたてたが、京都からの使者と途中で行き会うて忠綱が戦場最期の有様を物語ったということである。 |
横光利一 |
【旅愁】
「とうとう甲を脱いだな。しかし、あそこのカフェーが本物の女だったら、僕らは今ごろこんなお寺の前なんかにいられるもんか。」と矢代は云って眼の前に聳えた白いサクレクールの塔を仰いでみた。 「じゃ、今夜は極楽往生としとくかね。どうもしかし、論争のない世界という奴は面白くないものだな。仕事がなくなったみたいで。いやに仲ばかり良くなるのは、これや、神さま何か間違ってるぞ。」 と久慈は云ってお寺の塔を振り仰いだ。 |
吉川英治 |
【宮本武蔵 風の巻】
「よくお念仏もいっておりますぜ」「そうだろう、そういう信仰家という者は世間にたくさんあるものだよ。外では悪いことをしてきながら、家へはいるとすぐお念仏。眼では悪魔のすることを捜しながら、お寺へ来ればすぐお念仏。人を撲っても、後でお念仏さえいえば、罪障消滅、極楽往生、うたがいなしと信じている信心家だ。こまるね、ああいうのは」 |
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