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五里霧中
ごりむちゅう |
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作家
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作品
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石川啄木 |
【道】
取敢へず、着て来た色の |
直木三十五 |
【大衆文芸作法】
第二に、サスペンスということが、その特徴であろう。どうなるだろうか、犯人は誰だろうか、といった期待と不安を次から次へと読者にもたすように仕組まれていなくてはならない。犯人を意外な処に発見さすのもいい――ドウゼの「スミルノ博士の日記」、すべての登場人物を犯人らしく見せて五里霧中に
その為には、トリックが必要となって来る。伏線に伏線が重なりもつれ合う、そして読者が五里霧中になる。一つがもつれると、他が少しほぐれ、そして又その上に伏線が重なる、といった具合に、常にある部分の期待と期待につらなる不安――サスペンスを持たせるためには、トリックが重要な役割をする。ルブランの探偵小説など御覧になるとすぐわかる。 |
織田作之助 |
【勧善懲悪】
しかし、空拳と無芸では更に成すべき術もなく、寒山日暮れてなお遠く、徒らに五里霧中に迷い尽した挙句、実姉が大邱に在るを倖い、これを訪ね身の振り方を相談した途端に、姉の亭主に、三百円の無心をされた。姉夫婦も貧乏のどん底だった。「百円はおろか五円の金もおまへんわ」 |
太宰治 |
【人間失格】
自分には、人間の女性のほうが、男性よりもさらに数倍難解でした。自分の家族は、女性のほうが男性よりも数が多く、また親戚にも、女の子がたくさんあり、またれいの「犯罪」の女中などもいまして、自分は幼い時から、女とばかり遊んで育ったといっても過言ではないと思っていますが、それは、また、しかし、実に、薄氷を踏む思いで、その女のひとたちと附合って来たのです。ほとんど、まるで見当が、つかないのです。五里霧中で、そうして時たま、虎の尾を踏む失敗をして、ひどい痛手を負い、それがまた、男性から受ける
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北村透谷 |
【劇詩の前途如何】
然れども劇詩の前途果して如何なるべき、吾人は |
梶井基次郎 |
【Kの昇天 ――或はKの溺死】
K君は、影は阿片のごときものだ、と言っていました。もし私の直感がしかし私はその直感を土台にして、その不幸な満月の夜のことを仮に組み立ててみようと思います。 |
岸田國士 |
【今月の感想 ――文芸時評】
ほかにいふことがなければとにかく、相手の議論が世に害毒を流すといふ理由で、それ/″\相手を打ち負かさうと意気込むその態度はなるほど真剣ではあらうが、翻つて、その意気込みの相反撥する結果を考へたならば、読者大衆を五里霧中に追込むだけである。そこから、努力してはひ出るものは、荒れ果てた土壌の上に茫然と眼をおとさないわけに行かぬといふのが、ともかく日本の現状なのである。
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夢野久作 |
【ナンセンス】
探偵趣味で惹き付けられたのか、猟奇趣味で読まされたのか、わからない場合が非常に多い。わかってもその「探偵」とか「猟奇」とかいう趣味の定義は依然として五里霧中だからおかしい――どうもおかしい――。
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大阪圭吉 |
【銀座幽霊】
翌日になると、果して新聞は一斉に幽霊の出現説をデカデカと書き立てた。警察は、ヤッキになって、前と同じようなことを、蒸し返し調べたてた。新しい収獲と云えば、兇器に使われた例の剃刀を鑑識課へ廻した結果、その剃刀は柄が細くてハッキリした指紋が一つも残っていない事と、達次郎を引立てて調べた結果、達次郎がいつの間にか澄子と出来合っていて、そのために家の中が揉め合っていた事なぞが、判明したに過ぎなかった。ところが、そうして警察が五里霧中の境を |
牧野信一 |
【嘆きの孔雀】
その時の私の周囲は不思議な色をもつて覆はれてゐたのです。これは屹度何か心の迷ひに異ひないと私は思ひましたから心を落着けて、目の前にふさがつた霧をはらひのけましたが――その努力は結局水の泡でした。五里霧中とは全くこのことです。その中にもあたりに立ちこめた霧は刻々と深くなつて参りました。一寸先も見えなくなつたのです。
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