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狐疑逡巡
こぎしゅんじゅん |
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作家
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作品
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宮本百合子 |
【あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)】
「渋谷家の始祖」の主人公が病的であった原因は、富裕な階級の未亡人に甘やかされて社会性を鍛えられずに青年となった人間の醜さと悲劇である。作者が恋愛した人との現実で苦しんでいた、人生に対する対手の狐疑、逡巡は、貧困や孤独な生活経験からたくわえられたものであった。作者が重い比重で自分の存在にのしかかって来て、深い悲しみを与えられた人間のそういう気持を、資本主義社会の逆境で歪んで来た人間性においてとらえ作品化すことが出来ず、反対に、有閑の上流生活において腐敗させられてゆく人間の生活力として把えているところも面白い。
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