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刻苦精励
こっくせいれい
作家
作品

芥川龍之介

【雑筆】

今の西人せいじんがこの句を使ふのも、やはりさう云ふ意味には使つて居らぬ。芸術は長く人生は短しとは、人生は短い故刻苦精励を重ねても、容易に一芸を修める事は出来ぬと云ふ意味である。こんな事を説き明かすのは、中学教師の任かも知れぬ。しかし近頃は我々に教へ顔をする批評家の中にさへ、このはき違へを知らずにゐるものもある。それでは文壇にも気の毒なやうだ。そんな意味に使ひたくば、希臘ギリシヤの哲人の語を借らずとも、孫過庭そんくわていなぞに人亡業顕ひとほろべどもわざあらはる云々うんぬんの名文句が残つてゐる。

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泉鏡花

【式部小路】

 身をひるがえすと矢を射るよう、白い姿が、車の横を突切って、一呼吸ひといきに飛んで逃げた。この小路の出口で半身、湯屋の格子を、あわいのある脊後うしろ脊負しょって、立留って、此方こなたのぞき込むようにしたが、赤大名の襤褸姿ぼろすがた、一足二足、そっちへ近づくと見るや否や、フイと消えた、垣越のその後姿。ちらちらと見えでもするか。刻苦精励、およそ数千言を費して、愛吉を女房の前に描き出した奴は、ここに現実した火の玉小僧の姿を立たせて、ただひめのりの看板に、あッけなく消えてしまったのである。

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豊島与志雄

【三つの嘘 ――近代伝説――】

 或るところに、元という長者がありました。賤しい生れでしたが、一代に長者となったのであります。若い頃、沿海航路の小さな貨物船の水夫をしていて、ひそかに、いかがわしい商売をして、相当の資産を得た、という噂がありますが、それも確かなことは分りません、とにかく、何かで或る程度の金を儲けて、それから、相場をしたり、金貸をしたりして、それがみな運よくゆき、ひとかどの長者となりました。ただ茲に注意すべきことには、彼の素行は極めて謹厳でありました。水夫とか相場師とかに普通見られないほど凡ての点に厳格でありました。それ故、彼の過去の仕事のおもなものは金貸であったろうと、想像されますし、また、彼は刻苦精励して産を成したのだと推察されます。

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横光利一

【欧洲紀行】
女主人はキエフの白系露人の貴族である。王朝時代の品位と善良さを持った五十過ぎの婦人であるが、無一文で革命の際に老母と息子二人を連れベルリンまで逃げて来た。刻苦精励医学を勉強し医者の免状をそれから取ろうとしたのだが、独乙では医者の免状は難しく、殊に女医は一層難事である。漸くパスした時には心身の疲労で卒倒したという。

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宮本百合子

【新しい婦人の職場と任務 ――明日の婦人へ――】
 これまでも、日本の女は、実に労を惜しまず、雑多な歴史の荷を足くびに引きずりつつ働き、かせぎして来た。今日はさらに一歩すすめて、この複雑な諸条件はそのままで、いっそうの刻苦精励に向ってふるい立たされているのである。生活の新しい必要は、女に新たなたくましさを与えるであろう。

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夢野久作

【梅津只圓翁伝】

翁の養子になっていた梅津利彦氏(現牟田口利彦氏)などは遠方の中学校へ行くために早く起きようとすると、早くも翁の足踏の音が舞台の方向に聞こえるので、又夜具の中へ潜り込んだという利彦氏の直話である。こうした刻苦精励が翁の終生を通じて変らなかった事は側近者が皆実見したところであった。

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谷崎潤一郎

【春琴抄】
春琴を九天の高さに持ち上げ百歩も二百歩も へりくだっていた佐助であるからかかる言葉をそのまま受け取る訳には行かないが、技の優劣ゆうれつはとにかくとして春琴の方がより天才肌てんさいはだ であり佐助は刻苦精励せいれいする努力家であったことだけは間違いがあるまい。彼がひそかに一挺いっちょうの三味線を手に入れようとして主家から給される時々の手あてや使い先でもら祝儀しゅうぎなどを貯金し出したのは十四歳のくれであって翌年の夏ようよう粗末そまつな稽古三味線を買い求めると番頭に見咎みとがめられぬようにさおどうとを別々に天井裏てんじょううら寝部屋ねべやへ持ち込み、夜な夜な朋輩ほうばいの寝静まるのを待って独り稽古をしたのである。

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Last updated : 2024/06/28