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困苦欠乏
こんくけつぼう
作家
作品

坂口安吾

【わが戦争に対処せる工夫の数々】

昭和十九年になった。ラバウルから突如としてサイパンがやられる。私は映画屋のともかく片隅の一員で試写室でニュース映画から、専務の部屋で専務から、いくらか時代の空気を見聞して、それだけが私の時代との接触で、あとの一週間の六日間はたいがい碁会所で碁を打っている。けれども日本はもう駄目だということは私のような者の目にも先ず明かで、やがて日本は廃墟となる、その中で否応なく立籠らねばならないので、軍部の一ツ文句ではないけれども最悪の事態環境の中で困苦欠乏にたえる精神でなくて私の方の考えでは肉体が、ともかく最後まで生き残りうる条件だと考えた。

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豊島与志雄

【猫先生の弁】

いや、犬はちゃんと自分の地位を知っています。智慧もあります。自分の職分を心得ています。自分の小屋の伏床に寝ね、時としては困苦欠乏にも耐え、盗賊などの外敵を防ぎ、人間の散歩のお供もする。猫にこそ、何の自覚もありません。

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岸田國士

【事変記念日】

われわれは祖国の安危を前に如何なる困苦欠乏にも堪え得るであろう。われわれの勇気は何人かの号令によって倍加されるのではない。

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豊島与志雄

【広場のベンチ】

困苦欠乏は前線の兵隊につきものである。この小部隊の兵たちは、突進すべき敵を見失い、警戒すべき情況も認め得ないで、飲食物の方へ飛びついていった。久しぶりの珍味だった、けれどもさすがに、公然たる饗宴とはいかなかった。薄暗い灯影のもとで、言葉少なに腹を満したのである。

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永井隆

【ロザリオの鎖】

こい願わくは在天の西田神父様、玉屋神父様、並びに諸々の浦上信者の霊魂、さらに神にお願いして浦上教会復興の力を下さしめ給うように。私どももまたこの困苦欠乏の原子野に苦難を忍び償いをはたし、やがて天国において相会う日をたのしみに霊的並びに物的教会復興に力をつくし心をつくして働こうと思います。

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穂積陳重

【法窓夜話】

故にグローチゥス夫婦は、故郷の親戚より送ってくれる僅かの金員、衣服、食品などに依って、ようやくに日々の生活を支え、その困苦欠乏は決して少なくはなかったのであるが、グローチゥス夫婦は、毫もこれがためにその志を屈することなく、互に励み励まされてその著述を継続したのであった。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28