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孤立無援
こりつむえん
作家
作品

坂口安吾

【安吾人生案内 その二 大岡越前守】

クリーニング氏は夫人方の親戚へ住みこんでそッちの家業を手伝っておるから日常は孤立無援で、おまけに嫌っているのは確かに夫人の方だから、まア聟が追んだされると同じような心境を味い、慰藉料ということを思いつくに至ったのであろうが、そのへんの心境は同情はできるね。

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菊池寛

【小田原陣】

小田原陣直後奥州の辺土へ転封され、百万石の知行にあきたらず、たとえ二十万石でも都近くにあらばと、涙を呑んで中原ちゅうげんの志を捨てた位の意気は、髣髴ほうふつとしてうかがわれるのである。
 此の頃になると、関東方面に散在して居る諸城は、相次いで陥落し、小田原城は愈々孤立無援の状態にある。

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林芙美子

【文学的自叙伝】

プロレタリア文学はますますさかんでした。私は、孤立無援の状態で、自分の一切に絶望していました。仕事してゆく自信、生きてゆく自信がなくなり、どこか外国へ行ってみたくて仕方がありませんでした。

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岸田國士

【私の従軍報告】

われわれは、日本軍の奇略縦横、疾風迅雷のファインプレイに拍手を送るものであるが、敵の執拗なゲリラ戦術とやらには業を煮やさざるを得ぬ。
 私は、武漢攻略の華々しい肉薄戦にも増して、孤立無援の小警備隊が、前後左右に数倍の敵を控へ、日夜緊張し、秘策を練り、虚に乗じて進み、厳として与へられた地域を守る、目立たない苛烈な任務にひとしほ心惹かれたものである。

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岡本かの子

【みちのく】

白痴の心にもお蘭が自分から失われ、自分は全く孤立無援こりつむえんで世の中に立つわびしさがひしひしと感じられた。現われて来る眼に見えぬ敵を想像して周章あわてはてた。

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海野十三

【英本土上陸作戦の前夜】

彼は、爆発点に達しようとする憤懣ふんまんをおさえるのに、骨を折った、孤立無援こりつむえんの彼は……。

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久生十蘭

【黒い手帳】

こんなものがシステムだなんて出かけて行ったら、モナコ三界で路頭に迷うぞ、及びもつかぬことを考えぬがいい」それ自身貧困である欧羅巴では、なんの生活力ももたぬ孤立無援のこの東洋人夫婦にとって、このような場合窮死は空想ではなく、極めてあり得べき事実なのである。この能なしの夫婦にとって賭博だけが最後の希望だった。

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林不忘

【若き日の成吉思汗 ――市川猿之助氏のために――】

札木合ジャムカ (突然哄笑して)ははははは、目下旭の昇る勢いの成吉思汗ジンギスカンだ。人物才幹、この蒙古はおろか、東は遠く金の国、西は花剌子模ホラズムの果てまで、並ぶ者ない名将と聞いているが、古い恋の意趣遺恨を根に、この孤立無援の山寨を包囲して、あくまで陥さねば気が済まぬとは、噂ほどにもない 成吉思汗ジンギスカンだ。いや、箔の剥げた成吉思汗ジンギスカンだ。小さな男だ、けちな男だ! おれはあいつの面へ、この罵りを浴びせながら、笑って死にたいのだよ、はっはっは。

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内藤鳴雪

【鳴雪自叙伝】

前面は海を隔てて、長州藩でいうまでもなく討入の怨みもあるし、今般これらも松山征討の命を受けた。そこで我藩は完く孤立無援の地に立ったので、このまま防戦しても遂には落城して、君臣共に討死するということはモウきまっている。

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吉川英治

【宮本武蔵 風の巻】

それがみな狼に似て、腹といえば薄く、脊骨はとがり立ち、歯はヤスリにけたようなのであるから、孤立無援の又八としては、 先刻さっきの六部や小次郎よりも、時間的に数十倍もまさる恐怖だった。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28